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2019 年度 実施状況報告書

皮膚筋炎におけるI型インターフェロン発現上昇:LINE-1とウイルス感染の関与

研究課題

研究課題/領域番号 19K08766
研究機関群馬大学

研究代表者

清水 晶  群馬大学, 医学部附属病院, 講師 (70396638)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードレトロトランスポゾン / LINE-1 / 皮膚筋炎 / ウイルス / メチル化
研究実績の概要

皮膚筋炎発症とウイルス感染に関してはピコルナウイルスなど様々な報告がある。近年膠原病発症には、ヒトゲノムの大部分を占めるレトロトランスポゾンの関与が知られている。我々は群馬大学皮膚科で経験した皮膚筋炎28人、健常人10人の末梢血白血球サンプルを使用し、群馬県内で流行した8種類のウイルスとLINE-1を始めとした3種のレトロランスポゾン(LINE-1、HERVK14、SVA)の発現を定量PCRで検討した。また、皮膚筋炎の病態形成に関与すると思われるI型インターフェロンの発現も併せて検討した。現在までに皮膚筋炎で報告されていたピコルナウイルスなどのRNAウイルスは検出しなかったが、3種のレトロトランスポゾンの発現が皮膚筋炎で有意に上昇し、かつI型インターフェロン発現と相関していることを明らかにした。レトロトランスポゾンはメチル化などにより発現が制御されており、メチル化酵素(DNMT3A, DNMT3B)の発現も解析した所、皮膚筋炎の血球細胞ではそれらの遺伝子発現にも異常が見られた。LINE-1プロモーター領域の解析も行い、皮膚筋炎患者血球では健常人に比べ有意に脱メチル化が生じていることを明らかにした。レトロトランスポゾンとインターフェロンの相関は複数の培養細胞でも見られ、両者の相互制御について検討中である。皮膚筋炎で見られるI型インターフェロン発現にはレトロトランスポゾンが関与する可能性があり研究を継続したい。これらの成果は、現在国際誌に投稿中であり、本年度の日本皮膚科学会でも発表予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

皮膚筋炎の1型インターフェロン発現に関与する因子として、ウイルス感染とレトロトランスポゾン発現を候補に挙げていた。群馬県衛生研究所との共同研究で、患者サンプルでは群馬県で通常検出されるDNA, RNAウイルスは検出されなかった。しかし、患者検体ではレトロトランスポゾン発現(LINE-1など)が上昇しており、1型インターフェロン発現との強い相関が見られている。現在は培養細胞も使用し両者の発現制御について検討中である。LINE-1と1型インターフェロン発現の強い相関は患者検体と培養細胞で明瞭に見られており、両者の発現に影響する因子の同定を絞り込む予定である。研究体制は確立されており予想以上に早くインパクトのある成果をは発表することができると考える。

今後の研究の推進方策

患者検体を皮膚筋炎と同じ自己免疫性疾患である全身性エリテマトーデスと自己免疫性水疱症に広げサンプルを回収した。これらの検体を用いた解析でも、皮膚筋炎ほどの強いLINE-1発現は見られないが、同様に1型インターフェロン発現との強い相関が見られ興味深い。今後は患者検体を増やし解析する。現在はLINE-1と1型インターフェロン発現の強い相関のメカニズム解明を最終ゴールとして研究を進めている。幸い培養細胞系で同様の現象が観察されており遺伝子プロモーター領域の解析、mRNA, 蛋白レベルの発現に関与する因子を同定したい。現在はLINE-1発現を上昇させる脱メチル化酵素5-AZACやインターフェロン誘導剤(PolyICなど)を用いてLINE-1と1型インターフェロン発現を比較している。同時にLINE-1やインターフェロン発現阻害剤(BX795, PKR inhibitorなど)を用いた解析も進行中である。

次年度使用額が生じた理由

他の資金による研究試薬の購入が可能であったため。
研究材料を節約することで実際よりも安価に成果を挙げることができたため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 皮膚筋炎病態形成に関与するウイルスとレトロトランスポゾンの探索2020

    • 著者名/発表者名
      清水 晶、栗山裕子、金井早紀、石川 治 塚越博之(
    • 学会等名
      第119回日本皮膚科学会総会

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公開日: 2021-01-27  

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