1.患者末梢血白血球、皮膚生検組織を用いたLINE-1とIFN経路の解析 末梢白血球よりRNAを抽出し、cDNAに合成後、リアルタイムPCRを用いて、LINE-1などのレトロトランスポゾン、I型~III型IFN、ヤーヌスキナーゼ(JAK)、 シグナル伝達兼転写活性化因子 (STAT)、IFN誘導遺伝子(ISG)の遺伝子発現を解析した。各々の遺伝子発現の相関関係を、スピアマン相関係数を用いて解析し、皮膚筋炎と自己免疫水疱症の治療中患者の抹消白血球ではI型IFNが上昇していた。皮膚筋炎、SLE、自己免疫水疱症いずれにおいてもI型IFNとLINE-1のスピアマン相関係数を用いて正の相関を確認した。その下流のJAK、STAT、ISGの発現や相関については疾患毎に異なるパターンが見られた。SLEではISGが高発現であり、ISG同士にはスピアマン相関係数において強い正の相関を示した。 2.培養細胞におけるLINE-1とIFN発現の解析 複数の培養細胞株を用いて(A431、NP-2、G361、HaCaT等)RNAを抽出し、レトロトランスポゾンやIFNの遺伝子発現についてヒトでの検体と同様に、リアルタイムPCRを用いて、LINE-1などのレトロトランスポゾン、I型~III型IFN、ヤーヌスキナーゼ(JAK)、 シグナル伝達兼転写活性化因子 (STAT)、IFN誘導遺伝子(ISG)の遺伝子発現を解析した。末梢白血球と同様I型IFNとLINE-1のスピアマン相関係数は正の相関を示した。LINE-1発現を起点とし、I型IFNやその下流の経路が皮膚筋炎を始めとした自己免疫疾患の病態に関わる可能性がある。以上の研究内容はコレスポンディングオーサーとして英文雑誌に発表した(Kuriyama Y et al. Sci Rep. 2021)。
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