研究課題/領域番号 |
19K08767
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
横関 博雄 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (90210608)
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研究分担者 |
宇賀神 つかさ 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 講師 (40581327)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | basophil / prurigo / food allergy / contact dermatitis / atopic dermatitis / stat6 / Zn / anti-IgE antibody |
研究実績の概要 |
加水分解小麦の経皮感作による小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーなど蛋白抗原の経皮感作によるアナフィラキシーが社会問題になっている。今年度は食物アナフィラキシーを抗原の経口接種による免疫療法のメカニズムを解析した。 当教室で樹立した経皮感作型食物アレルギーのモデルマウスを用い、感作の前後で抗原を経口摂取することで、アレルギーの発症が予防・治療できるかどうかを検証した。 モデルマウスでは、1週間の経皮感作(OVA : ovalbmin)を2週間間隔で3回行い、その後OVAを経口チャレンジするとアナフィラキシー様の直腸温低下が起こる。経皮感作前にOVAを1週間経口摂取する群、経皮感作中にOVAを継続的に経口摂取する群、抗原を経口摂取しない群(コントロール群)で、OVAの経口チャレンジ後の直腸温低下を比較検討した。腸管・皮膚肥満細胞の脱顆粒を病理組織染色にて比較した。また、血中OVA特異的IgE値、IgG値をELISA法にて測定した。リンパ組織のFoxp3とIL-4の転写誘導についてqPCR法にて解析した。 感作中抗原摂取群ではコントロール群に比べて直腸温低下が減弱したが、感作前接種群はコントロール群と変わらなかった。血清中mMCP-1は、感作中摂取群でコントロール群に比べて減少した。耳介皮膚における肥満細胞の脱顆粒や、感作部への好塩基球の浸潤は、感作中摂取群、感作前摂取群で、コントロール群に比べて軽減された。また、血清中OVA特異的IgE抗体価は、感作中摂取群・感作前摂取群で、コントロール群に比べて減少した。腸間膜リンパ節におけるTregの誘導をFoxp3mRNA発現で検討したが、感作前投与群と感作中投与群では、コントロール群に比べて増強していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
加水分解小麦の経皮感作による小麦依存性運動誘発性アナフィラキシーなど蛋白抗原の経皮感作によるアナフィラキシーが社会問題になっている。そこで当研究室ではOVAをパッチテストチェンバーで1週間貼付後2週間ごとに3回貼付することを繰り返し後、50mgOVAの経口投与することによりアナフィラキシー反応を誘導するモデルマウスを作成した。私たちはこの実験系を用いて肥満細胞、好塩基球の役割を解析した。アナフィラキシーを起こした腸管では肥満細胞、好塩基球ともに増加していることも明らかにしている(Yu R, Exp Derm, 2017)。今年度は、腸間膜リンパ節におけるTregの誘導は、感作前投与群と感作中投与群では、コントロール群に比べて増強していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後、腸管・皮膚肥満細胞の脱顆粒を病理組織染色にて比較する。また、血中OVA特異的IgE値、IgG値をELISA法にて測定、リンパ組織のFoxp3とIL-4の転写誘導についてqPCR法にて解析することにより免疫寛容にT regが重要な役割を果たすことを明らかにした。今後、東京医科歯科大学烏山一教授のグループと共同研究で抗原特異的IgE導入マウスを用いて作成した痒疹モデルマウスを用いて亜鉛を投与することによる新規治療法を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果発表の場として学会参加を予定していたが、WEB開催となり交通費、宿泊費が不要となり、その分次年度に繰越となった。 そのことは研究遂行の上では、影響はない。
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