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2020 年度 実施状況報告書

乾癬発症におけるランゲルハンス細胞の役割:遊走および抗原提示についての検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K08774
研究機関高知大学

研究代表者

中島 喜美子  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)

研究分担者 山本 真有子  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (20423478)
中島 英貴  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
佐野 栄紀  高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
片岡 佐誉  高知大学, 設備サポート戦略室, 技術専門職員 (00437708)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード乾癬 / Stat3 / ランゲルハンス細胞 / IL-23
研究実績の概要

乾癬は、多遺伝子・多因子性の複合的要因のもとに、表皮と免疫細胞間の病的クロストークにより発症する。表皮炎症に引き続き自然免疫の賦活化、さらに獲得 免疫、特にTh17細胞の活性化カスケードが再び表皮を刺激することにより乾癬の病態は形成される。我々は表皮細胞特異的に活性型Stat3を恒常的に発現するマ ウス(K5.Stat3C)を作製し、このマウスにおける臨床所見、病理所見、遺伝子プロファイル、生物学的製剤の効果がヒトの乾癬病態を再現するものであることを 報告し、表皮におけるStat3の活性化がIL-23/IL-17シグナルを主とする免疫変調を誘導することを明らかにした ( Nat Med 2005;11:8212;49, J Immunol 2011;186:4481)。表皮の免疫系細胞とりわけランゲルハンス(LC)細胞が乾癬の発症初期にどのような働きを演じているか未だ不明である。申請者ら は、 diphtheria toxin投与により表皮内樹状細胞であるLangerhans cell(LC)を除去できるlangerin-DTR KI マウスとK5.Stat3Cマウスを交配すると乾癬様皮 疹の誘導は完全に抑制され、乾癬病態におけるLCがIL-23を産生していることを確認した。さらに、ヒト乾癬病変におけるLCがIL-23を産生していることを明らか にした。これは、LCが乾癬様皮膚炎に必須の役割をしている事実を示唆する(J Dermatol Sci 2019; 93: 82-91)。本研究では、乾癬発症に必須であるLCの機能を詳細に検討する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は、乾癬病変においてLCが病態に関与するアレルギー性接触性皮膚炎の発症について検討した。接触皮膚炎は感作時に、外来ハプテンが表皮内を通過して蛋白と結合しハプテン蛋白結合物を形成する。このハプテン結合物をLCが捕獲し、皮膚所属リンパ節に遊走し抗原情報をTリンパ球に伝え、感作リンパ球が誘導される。惹起相では、再び接触アレルゲンが接触後、表皮細胞よりサイトカインなどが産生され、様々の免疫担当細胞が動き、活性化Tリンパ球が表皮を障害し、アレルギー性刺激性皮膚炎が成立する。
我々は、乾癬モデルマウス(K5.Stat3C)背部にTPA(tumor promoter 12-O-tetradecanoylphorbol-13- acetate )3.4nmol, 200µlを週3回、2週間塗布し、乾癬初期病変を誘導した。乾癬初期病変が誘導されたとき、皮膚所属リンパ節におけるLC(CD11c+,MHC class2+,CD80+,CD207+細胞)は、乾癬病変非誘導病変と比較し、増加していることをFACSで確認した。この所見は、乾癬病変誘導することによって、LCが活性化していることを示唆した。次に、乾癬病変誘部位に、接触皮膚炎を感作するため、0.3%, 100µlのDNFB (2,4-dinitrofluorobenzene) を塗布群(グループ1)、無塗布群(グループ2)の2群に作製した。次に、両群に、惹起相を誘導する0.15%、20µlのDNFBを右耳介に塗布した。左耳介はコントロールとしアセトンを塗布した、その結果、乾癬病変誘導において、グループ1およびグループ2における耳介の厚さには有意差がなかった。この結果より、乾癬病変では、LCsがすでに活性化しているが、アレルギー性接触皮膚炎の感作は成立したことが明らかになった。乾癬患者において、アレルギー性接触皮膚炎は、正常人と同様に発症する可能性を示した。

今後の研究の推進方策

1)LCは膜表面に発現したMHC classIIを介して外因性抗原を提示する。LC特異的にMHC class IIを欠失したKOマウスでは乾癬様皮膚炎がどのように影響を受けるかを検討する。
2)活性化した(あるいは乾癬特異的抗原を補足した)LCをin vitroでT細胞を刺激したのち、マウスに養子移入し乾癬様病変が再現できるか検討する。

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公開日: 2021-12-27  

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