研究課題
我々はこれまでに、紫外線暴露や喫煙など外因性老化とは異なる、皮膚の内因性の自然老化の詳細を世代間の並体結合マウスを用いて解析してきた。その過程で2年を超える成獣マウスの皮膚の自然老化は、プロスタグランディン合成酵素であるCox2や炎症性カスパーゼ1の誘導を伴う持続性炎症が誘導され、fos遺伝子に代表される早期応答遺伝子群の持続発現として高齢マウスの皮膚に発現する帰結であることを明らかにした。 即ち、加齢による内因性皮膚老化は、紫外線暴露などの外因性老化によるプロスタグランディンに代表される慢性炎症と、必ずしも明確に区別できる現象ではなく、介入可能な可逆性の変化であると考えられる。昨年度は、月齢12月目のマウスを多数準備し、これまでに抗老化作用のあるとされる薬剤とともに、慢性炎症を抑制すると知られている抗TNF抗体製剤(レミケード)、アスピリン、メトホルミン、ラパマイシン、ニコチンアミドモノヌクレオチド、オキサロ酢酸を、半年から1年に渡って多数のマウスに投与し続けている。これらの薬剤投与が終了後に、高齢マウスの各臓器をサンプリングし、これまでに我々が発見したプロスタグランディン合成酵素であるCox2や炎症性カスパーゼ1を源流とする皮膚の慢性炎症と皮膚の老化変化に、どの様な影響があり、さらに中枢神経にはどの様な影響をもたらすかを解析する。現在、薬剤負荷中であり、令和2年度にはマウスの各臓器を取り出し、具体的な遺伝子発現の変化を決定する。さらにこれを阻害することで皮膚のみならず、中枢神経や個体自体の老化を減速することが可能であるか観察する。
2: おおむね順調に進展している
月齢12月のマウスに、抗TNF抗体製剤(レミケード)、アスピリン、メトホルミン、ラパマイシン、ニコチンアミドモノヌクレオチド、オキサロ酢酸を、半年から1年に渡って投与し続けている。現時点で解析結果が出ないのは、持続投与の期間が過ぎていないからで、令和2年度の夏頃には、長期投与のスケジュールが完了する。
今後は、月齢12月のマウスから投与を継続中の、抗TNF抗体製剤(レミケード)、アスピリン、メトホルミン、ラパマイシン、ニコチンアミドモノヌクレオチド、オキサロ酢酸を1年に渡って投与し終了する。これらマウスの臓器や血清を採取し、マイクロアレーとトランスクリプトームによる解析に供する。血清は流血中の老化因子の濃度の決定に使用する。マウス皮膚にけるCox2やカスパーゼ1の発現や、fos等の遺伝子発現を決定し、薬剤付加のない高齢マウスの検体を比較する。ジャクソン研究所より市販のCAG-flpxP-Ptgs2 マウスに、表皮角化細胞特異的K5-Cre/Ert マウスと掛け合わせ、皮膚からのプロスタノイドの分泌を消失させたマウスにおける、皮膚老化や全身老化を各々の表現型で追跡する。
次年度に解析検体などが多数予想され、必要とすると考えた。現在は薬物負荷を継続中である。
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すべて 雑誌論文 (25件) (うち査読あり 18件、 オープンアクセス 21件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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