研究課題/領域番号 |
19K08786
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
岩田 浩明 北海道大学, 大学病院, 講師 (20397334)
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研究分担者 |
西江 渉 北海道大学, 医学研究院, 客員教授 (20443955) [辞退]
氏家 英之 北海道大学, 大学病院, 講師 (60374435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 水疱性類天疱瘡 / NC16A / 17型コラーゲン / 補体 |
研究実績の概要 |
1)培養細胞を用いてC1qが自己抗原の枯渇を促進するか検証 ケラチノサイトに対してマウスモノクローナル(mAb)BP180-NC16A抗体、mAb BP180-C末(non-NC16A)抗体を用いて17型コラーゲン(COL17)のDepletion効果を補体C1qの有無にて評価したところ、C1qを加えた場合にDepletionが促進されることが確認された。ヒトmAbの作成は、NC16A抗体は完了し培養細胞で細胞内取り込みとDepletionを蛍光染色とウエスタンブロットで確認しているが、コントロールに比べ優位な差は認めない。抗体濃縮過程が問題と考え、変更を試みているが良好な結果は得られていない。非病原抗体であるnon-NC16A抗体は作成した抗体が抗原結合能がなかった。そのため、新たなクローンの作成を継続している。ハイブリドーマから可変領域の配列を再度シークエンスし直したところ、2つの組み合わせが確認された。そのため、新たな重鎖のベクターを作成して抗体作成を始めた。昨年度から取り組んでいるファージディスプレイによる抗体作成は、pComb3ベクターのライゲーション効率が改善せず、重鎖と軽鎖を2回ライゲーションすると2つとも入るベクターが10%以下となり、スクリーニングに進む段階にない。 2)ケラチノサイトによる補体C1qの産生 培養ケラチノサイトに作成したNC16A抗体刺激を行うとC1qの遺伝子発現が上昇し、ウエスタンブロットによりタンパク発現の上昇も認めた。 3)抗原結合部位の入れ替えタンパクの作成を行った。NC16A部位をC末に入れ替えるため、CRISPR-Cas9技術によりCOL17ノックアウト細胞を作成し、そこにNC16Aを入れ替えをしたCOL17ウイルスベクターを組み込んだ細胞を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスモノクローナル抗体は作成できており、仮説である補体による自己抗体の自己抗原のDepletionの促進は培養細胞で確認できた。最も知りたい疑問は答えが得られているが、人への応用を期待しているため、抗体をヒト化する必要がありこの段階に遅れが生じている。当初は、マウスモノクローナル抗体の可変領域を同定して、ヒト抗体と組み合わせるキメラ交代の作成を行ったが、抗原結合能がないため患者細胞からのファージディスプレイを試しているが、グループでの初めての技術であり中断を繰り返している。一方、当初のマウスハイブリドーマからの可変領域の読み直しで、作成した配列とは別の配列が同定できたため、最初のキメラ抗体の作成を再開したので、こちらが抗原結合能があればヒト化抗体作成が完了することが期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、患者細胞からのファージディスプレイとマウスmAbからのキメラ抗体作成を並行しているが、いずれかでヒト化BP180抗体を作成できたら大量作成へ進め、培養細胞とマウス実験へと進む。上記がいずれも、思うように進まない時の可能性も考えて培養細胞のCOL17をCRISPR-Cas9技術により遺伝子編集を行い自己抗原COL17の抗原結合部位を入れ替える作業を始めた。こちらが作成できれば、非病原抗体(non-NC16A)の作成なしでも、NC16A抗体を用いて目的の培養細胞での実験は可能になる。 治療実験は、低分子化合物ではなく合成ペプチドで進めていくことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度前半が新型コロナウイルスに伴う研究業務の縮小により、研究に遅れが生じたため。また、再開後に研究計画通りに進まない作業を繰り返し行い新規実験が遅れたため。
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