研究課題
基盤研究(C)
本研究は、慢性皮膚炎症において、表皮ケラチノサイトで起こるエピゲノム変化および代謝変化の役割を明らかにすることを目的として行われた。研究の結果、特定の環境刺激がエピゲノム変化関連因子の発現を減弱させること、この因子の恒常的な発現低下は、表皮における規則だった構造分子の発現異常、環境刺激に対する増殖応答、解糖系代謝トランスポーター発現の低下、炎症応答による特定の免疫細胞の集積の減弱を起こすことが明らかとなった。
免疫学、皮膚科学
がんや免疫細胞の先行研究で進みつつある慢性炎症とエピゲノム変化や代謝変化との関連性について、本研究では初めて表皮を対象に検討した。その結果、表皮の様な体細胞でも、エピゲノム変化関連因子の発現は、代謝状態の変化や炎症応答性の性状変化に関与することが示唆された。この発見は、長期間の加療を必要とする慢性皮膚疾患において、エピゲノムや代謝を標的とした創薬の研究基盤の構築に大いに貢献するものと考えられる。