研究課題/領域番号 |
19K08793
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
中島 英貴 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 講師 (70314995)
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研究分担者 |
中島 喜美子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 准教授 (20403892)
佐野 栄紀 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (80273621)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 乾癬 / アトピー性皮膚炎 / TPA / MC903 / 好酸球 |
研究実績の概要 |
乾癬モデルマウスK5.Stat3Cマウスの耳介にフォルボールエステル(TPA) を塗布し、乾癬様病変を誘導し、反対側耳介にカルシポトリオール(MC903) を塗布し、アトピー性様病変を誘導したところ、TPA 単独塗布群と比較して、反対側にMC903 を塗布したTPA 塗布部位において耳介腫脹が有意に増加し、組織学的にも表皮肥厚・角質への好中球浸潤・真皮への好酸球・リンパ球浸潤が増加した。さらにTPA 先行塗布群とMC903 先行塗布群を比較して、乾癬様病変が先に生じた群とアトピー性様病変が先に生じた群における耳介腫脹と組織学的差異を検討したところ、どちらもTPA 塗布部位における耳介腫脹の増加と著明な細胞浸潤を認めた。またMC903 塗布部位における耳介腫脹の増加も認めた。以上のことから、乾癬とアトピー性皮膚炎が合併した場合、どちらの病変が先行したに関わらず、両方の病変における細胞浸潤が増加し、それぞれの病変の悪化および治療抵抗性を生じる可能性が考えられる。 野生型(WT)マウスの耳介にMC903 を塗布して、アトピー性様病変を誘導したところ、頚部リンパ節や肝臓においても好酸球浸潤を認め、高濃度MC903 を塗布するとリンパ濾胞の消失や肝炎を認めたことから、好酸球増多症の疾患モデルとしても有望であることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初UVB 照射によるアトピー性皮膚炎様病変の誘導を行なっていたが、scratch による表皮びらんが著しく、細胞浸潤や表皮肥厚の検討が行えなかった。MC903 塗布によりアトピー性皮膚炎様病変誘導が可能になったことから、乾癬とアトピー性皮膚炎合併モデルマウスが確立できた。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこのモデルを用いて、乾癬様病変先行群とアトピー性皮膚炎様病変先行群における末梢血好酸球・IgE・サイトカインの測定および病変部における炎症性サイトカインの遺伝子発現変化および表皮内への末梢神経分布の差異を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が少額のため、物品が購入できなかった。翌年度分の助成金と合わせて物品購入費とする。
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