研究実績の概要 |
アトピー性皮膚炎モデルとしてマウス耳介にカルシポトリオール (MC903) を塗布し、経時的に(Day1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8)後足による掻破回数(30分間)をビデオカメラにより撮影し計測したところ、徐々に掻破回数は増加しDay8 では平均300回/30分であった。耳介の厚さも経時的に肥厚し、組織学的にも表皮肥厚と浸潤細胞が経時的に増加することから、炎症の進行に伴い皮膚の掻痒が増加することが明らかになった。 皮膚をサンプリングし、表皮細胞から分泌され好中球を誘導するケモカインのCXCL1、CXCL2、CXCL3、CXCL5、ならびに好中球から分泌されるケモカインのCXCL9、CXCL10、CXCL11の遺伝子発現を検討したところ、Day8においてCXCL3、CXCL9、CXCL10が有意に上昇していた。 さらにMC903 処置を行った皮膚において、神経伸張因子であるNGF、NT3、 brain derived neutrophic factor (BDNF)、artemin (ARTN)、 glial cell line-derived neutrophilic factor (GDNF)、 neuruturin (NTN)、persephin (PSP) の遺伝子発現の経時的変化を検討したところ、Day2からPSP、Day5からNGF、Day8からARTNが有意に上昇していた。これに反して神経伸張阻害因子であるsemaphorin 3A (Sem3A) の遺伝子発現の変化は認められなかった。 三叉神経節において、神経関連遺伝子発現の変化を経時的に検討したが、発現の上昇は見られなかったことから、アトピー性皮膚炎モデルにおけるかゆみは皮膚における好中球性ケモカインおよび神経伸張因子が関与していることが明らかになった。
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