研究課題
Mowat Wilson症候群患者のZeb2遺伝子変異がメラニン産生におよぼす影響についてメラノーマ細胞株を用いて検討した。患者に同定されたZeb2遺伝子の変異部位をターゲットにしてsgRNAをデザインし、ピューロマイシン耐性遺伝子およびGFP遺伝子をマーカーとして搭載したプラスミドDNAをリポフェクタミンによりHMVⅡ細胞に導入した。GFP導入細胞を96ウェルプレートで単細胞から培養して34クローンを得たが、PCR法にて変異の入ったZeb2遺伝子は検出できなかった。ピューロマイシン添加により選択された細胞を限界希釈法により単細胞から培養し、44クローン得た。このうちPCR法にてZeb2遺伝子変異の導入を確認できた4クローンについてメラニン分析を行った。Zeb2変異を有するメラノーマ細胞株は正常メラノーマ細胞株に比べ、PTCA( 6.8±2ng/mg vs 33.2±10.6ng/mg)、4-AHP( 74.1±21.5ng/mg vs 339.8±101.5ng/mg)とも有意に低下していたが、4-AHP/PTCA比( 10.9 vs 10.9)には差がなかった。またメラノーマ細胞株のメラニン量にはばらつきが大きかった。そこで、正常メラニン細胞を再度評価した。Cas9 ribonucleoprotein(RNP) complexを用いてelectroporationによりZeb2遺伝子に変異導入を試みた。electroporation後の細胞を引き続き培養し、メラニン分析に必要な1x106個まで増やしてからメラニン分析を行った。Zeb2変異を有するメラニン細胞は野生型に比較してPTCA(1058ng/mg vs 3055ng/mg)、4-AHP(561ng/mg vs 757ng/mg)ともに低く、4-AHP/PTCA比(0.53 vs 0.25)は高かった。
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J Dermatol
巻: 48 ページ: 667-671
10.1111/1346-8138.15761