研究課題/領域番号 |
19K08800
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研究機関 | ヤマザキ動物看護専門職短期大学 |
研究代表者 |
藤村 響男 ヤマザキ動物看護専門職短期大学, 動物トータルケア学科, 教授 (50209087)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ハンセン病 / 感染様式 / 侵入蛋白 / ワクチン |
研究実績の概要 |
我々はこれまで、らい菌の細胞侵入に関わる分子機構につき解析を行い、らい菌がmce1蛋白を用いて鼻粘膜上皮細胞を標的として感染する事、及びmce1蛋白の一部領域をブロックすることで侵入を抑制できることを明らかにしてきた。本研究の目的は、ワクチン開発ヘの基礎的検討の最終段階として、らい菌の体内への侵入経路である鼻粘膜細胞とリザーバーである微小血管内皮細胞への侵入に関わる蛋白の各部位を標的とした抗体を用いて侵入抑制効果を検討すると共に、ハンセン病患者におけるmce1蛋白に対する抗体の有無およびサブクラスについても併せ検討するところにある。これまでの研究結果から想定された侵入活性領域(316~531bpの領域)を316-387bp (106-129AA)、388-453bp (130-151AA)、454-486bp (152-162AA)、および487-531bp (163-177AA)に4分割して、夫々の領域に対する高度免疫血清を作製し、316bp-531bp (72AA領域)を外膜表示した組換え大腸菌を用いて侵入抑制効果を検討した結果、106-129アミノ酸と130―151アミノ酸を免疫原に作製した高度免疫血清(Inv Xa抗体とInv Xb抗体)に侵入抑制効果が認められた。そこで次に、新たにInv XaとInv Xbにまたがる領域(121-144AA)に対する高度免疫血清を作製し、侵入活性が最も抑制されることを明らかにした。本領域に対する単クローン抗体を得ることはできなかったが、らい菌の鼻粘膜上皮細胞への侵入においてmce1A蛋白InvX領域の121~144AAが最も重要な領域であることが明らかとなった。今年度は、ハンセン病患者におけるmce1A蛋白に対する抗体の有無とサブクラスをELISA法で検討するために、本領域を含む27KDの組換え蛋白を作製し必要量精製した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19のパンデミックにより、インドネシア共和国のハンセン病多発地域における現地調査と血清の収集が3年間延期された。その間に予定していた調査地域に於いて、COVID-19により多くの人が亡くなり、家族内発症例に関しては、新たな調査地域を選定する必要が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
インドネシア共和国のカウンターパート大学(ハサヌディン大学医学研究センター)と共に、新たな現地調査地域を選定し、予備調査を実施し、ハンセン病患者におけるmce1蛋白に対する抗体の有無およびサブクラスについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症に伴う渡航規制により国外出張(インドネシア共和国における現地調査)が行えなかった為、次年度に実施することにしたことによる差額である。新たな現地調査地域を選定後、速やかにインドネシア共和国を訪問し、現地調査を実施する。
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