研究課題
円形脱毛症は、後天性に類円形の脱毛斑を生じる疾患で、毛器官に対する自己免疫疾患であると考えられている。これまでステロイド外用、局所免疫治療、液体窒素凍結療法、紫外線療法などが用いられてきているが、治療が効果を示さない症例も多い。円形脱毛症患者の23%にアトピー性皮膚炎が合併し、アトピー性皮膚炎合併例では脱毛が重症化し、難治なことが多い。アトピー性皮膚炎に対して、2018年より抗IL-4/IL-13受容体抗体が治療に用いられているが、アトピー性皮膚炎に合併した円形脱毛症への効果のメカニズムは示されていない。当院で重症アトピー性皮膚炎患者23名に抗IL-4/IL-13受容体抗体を投与し、アトピー性皮膚炎に対する効果をまず検討した。アトピー性皮膚炎に対する効果判定にはEczema Area and Severity Index (EASI)というアトピー性皮膚炎の重症度の指標を用いた。抗IL-4/IL-13受容体抗体16週投与継続できた症例でEASIが75%以上減少したEASI-75達成率は80%であった。EASI-75達成群とEASI-75非達成群とを比較すると、EASI-75達成群のほうが、有意に年齢が高かった。また、EASI-75非達成群のほうが投与前のEASI-75の値や血清IgE値が高い傾向にあった。円形脱毛症合併患者の研究を大学倫理委員会に申請し、円形脱毛症の抗IL-4/IL-13受容体抗体による効果を観察している。これらの結果から抗IL-4/IL-13受容体抗体のアトピー性皮膚炎の効果がどのような重症アトピー性皮膚炎に対して効きやすいかが明らかになり、今後、円形脱毛症の個別化治療を検討する1つの手がかりになる可能性が期待される。
2: おおむね順調に進展している
円形脱毛症は、後天性に類円形の脱毛斑を生じる疾患で、毛器官に対する自己免疫疾患であると考えられている。これまでステロイド外用、局所免疫治療、液体窒素凍結療法、紫外線療法などが用いられてきているが、治療が効果を示さない症例も多い。円形脱毛症患者の23%にアトピー性皮膚炎が合併し、アトピー性皮膚炎合併例では脱毛が重症化し、難治なことが多い。アトピー性皮膚炎に対して、2018年より抗IL-4/IL-13受容体抗体が治療に用いられているが、アトピー性皮膚炎に合併した円形脱毛症への効果のメカニズムは示されていない。当院で重症アトピー性皮膚炎患者23名に抗IL-4/IL-13受容体抗体を投与し、アトピー性皮膚炎に対する効果をまず検討した。アトピー性皮膚炎に対する効果判定にはEczema Area and Severity Index (EASI)というアトピー性皮膚炎の重症度の指標を用いた。抗IL-4/IL-13受容体抗体16週投与継続できた症例でEASIが75%以上減少したEASI-75達成率は80%であった。EASI-75達成群とEASI-75非達成群とを比較すると、EASI-75達成群のほうが、有意に年齢が高かった。また、EASI-75非達成群のほうが投与前のEASI-75の値や血清IgE値が高い傾向にあった。円形脱毛症合併患者の研究を大学倫理委員会に申請し、円形脱毛症の抗IL-4/IL-13受容体抗体による効果を観察している。これらの結果から抗IL-4/IL-13受容体抗体のアトピー性皮膚炎の効果がどのような重症アトピー性皮膚炎に対して効きやすいかが明らかになり、今後、円形脱毛症の個別化治療を検討する1つの手がかりになる可能性が期待されるため。
アトピー性皮膚炎に合併した円形脱毛症患者への抗IL-4/IL-13受容体抗体投与症例数を増やし、効果の検証を行っていく。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
J Allergy Clin Immunol
巻: 144 ページ: 1265-1273
10.1016/j.jaci.2019.06.036
Eur J Dermatol
巻: 29 ページ: 663-664
10.1684/ejd.2019.3665