研究課題/領域番号 |
19K08815
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
西東 秀晃 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (50815496)
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研究分担者 |
一井 倫子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (30633010)
柴山 浩彦 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (60346202)
戸田 淳 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (90770834)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | GVHD / 同種移植 / リンパ球 |
研究実績の概要 |
Signal-transducing adaptor protein(STAP)蛋白ファミリーは、リン脂質結合モチーフであるPleckstrin homology (PH)ドメイン、リン酸化チロシンとの親和性が知られるSrc homology (SH)2ドメインに類似した構造を有するアダプター蛋白である。申請者らは以前より、STAP蛋白が炎症・免疫系シグナルを調整することを報告してきた。本研究では、STAP蛋白が同種造血幹細胞移植(allogeneic hematopoietic stem cell transplantation; allo-HSCT)後の免疫再構築とその後の同種免疫応答において果たす役割について明らかにする事を目的としている。 初年度に行った移植片宿主病(graft versus host disease; GVHD)マウスモデルを用いた検討において、リンパ球系細胞にSTAP2遺伝子を過剰発現すると、遷延するGVHDを発症する事を見出した。マウス骨髄・末梢血・胸腺や標的臓器である皮膚・腸管・肝臓・肺の解析を行ったところ、著明な胸腺萎縮と、移植後早期(day30)から出現する制御性T細胞数の低下の遷延が認められた。これらの結果から、胸腺萎縮やSTAP-2過剰発現による制御性T細胞の分化障害がGVHD発症の機序として考えられた。そこで、STAP-2過剰発現骨髄を移植ソースとして用いた場合、同系移植においてもGVHDを誘発できるという仮説を立て、検証した。結果、致死性放射線照射を前処置として行う事で、B6マウスをドナー・レシピエントとした同系移植実験においても、STAP-2過剰発現マウスをドナーとすれば、同種移植と同様のGVHDを発症する事が分かった。またこの同系移植マウスにおいても、同種移植マウスと同様に、著明な胸腺萎縮と移植後の制御性T細胞数の低下が認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、STAP蛋白がGVHD発症および胸腺再生を伴った免疫再構築に果たす役割を明らかにし、さらに患者検体を用いた検討を行う事で、治療への応用の可能性を検討することが計画の主幹である。本年度は、STAP-2過剰発現マウスをドナーとして用いた同系移植実験の検討を中心に研究計画を遂行し、研究はおおむね順調に施行することが出来た。 本年度までに得られた研究結果を基に、論文報告を行うことが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、STAP蛋白がGVHD発症および胸腺再生を伴った免疫再構築に果たす役割を明らかにし、さらに患者検体を用いた検討を行う事で、治療への応用の可能性を検討する計画である。本年度の研究結果から、STAP-2が制御性T細胞の生着後の再構築に関わることがGVHD発症の機序として考えられた。STAP-1蛋白についての検討は、STAP-2遺伝子組み換えマウスを用いた検討とは異なり、統計学的に有意で一貫する結果を得ることが出来なかった。今後はSTAP-2の機能解明に焦点を当てていく方針である。 次年度からは、制御性T細胞の移植後の再構築のメカニズムについて解析を行う方針としている。また、患者検体を用いた検討については、当施設の附属病院で造血幹細胞移植治療を行った症例の検体を用いた解析を準備中であり、次年度には具体的な検討を行う段階へ進む予定としている。
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