GPR25遺伝子変異を有する患者での血小板機能検査を継続して行った。血小板凝集試験では、血小板数を20万/μLに調節した後、ADP 10μM刺激時、collagen 3μg/mL刺激時で、患者血小板は凝集が亢進していた。リガンド結合能、血小板p-selectinの発現は、健常者と比較して、やや亢進しているものの、有意差は認めなかった。また、血栓形成能観測解析システム(T-TAS)を用いて、血栓形成の過程の観察を行ったが、全血では、血小板数が少なく、評価ができなかった。また、GPR25は血小板表面に発現していることは、私達が作製した抗GPR25モノクローナル抗体で確認しており、凝固の場となるリン脂質の発現が亢進しているかをannexin Vの発現で確認した。その結果、annexin Vの発現はコントロールと比べて亢進していた。 次に、GPR25遺伝子変異が血栓形成に重要な役割を果たすインテグリンαIIbβ3の活性化に及ぼす影響について検討した。まず、作成済みのGPR25遺伝子の変異体を用い、野生型と変異型をそれぞれインテグリンαIIbβ3が発現しているCHO細胞に遺伝子導入し、リガンド結合能(PAC1結合、フィブリノゲン結合)と細胞接着能について検討したが、コントロールと比べて有意な差はなかった。 さらに、私達が作製したGPR25変異トランスジェニックマウスを用い、まずは、血小板数を検討したが、血小板数が減少している個体や正常の個体など様々であった。その上、網羅的にマウス体内での血栓形成を各臓器の組織切片を作って観察したが、残念ながら血栓形成は観察できなかった。 そこで、GPR25遺伝子を欠損した条件下での検討を進めている。
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