研究課題/領域番号 |
19K08817
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
谷口 亜裕子 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 助教 (30403885)
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研究分担者 |
樋口 智紀 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (00448771)
大畑 雅典 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (50263976)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / 遺伝子 / 細胞株 / 治療抵抗性 |
研究実績の概要 |
B細胞腫瘍患者におけるCD20発現の陰性化はリツキシマブなどの抗CD20抗体治療の効果が十分に得られないことを意味し、患者予後不良に直結する重要な問題である。CD20陰性B細胞リンパ腫には抗CD20抗体治療後にCD20陰性化するリンパ腫と初診時からCD20発現が認められないリンパ腫の二通りがある。これらについてこれまでに明らかにされていないCD20陰転化機序の解明につながる手がかりをつかむことを目的にした。 我々は、CD20陽性B細胞リンパ腫患者から、リツキシマブ投与前および投与後に耐性になった2つのリンパ腫細胞株(P20とN20)の樹立に成功した。P20細胞株はCD20陽性であるが、N20細胞株のCD20は陰転していた。両細胞株は同一患者より樹立された同一クローン細胞由来であることが証明されており、CD20陽性からのCD20陰転化機序の解明に有用なペアBリンパ腫細胞株である。 解析の結果、N20細胞株のCD20ゲノム自体が欠落していることが判明した。そこで、CD20遺伝子の7つのエクソン領域にそれぞれプライマーを設定し、定量的リアルタイムPCR(qPCR)で各々のゲノム量を測定した。解析した全てのCD20遺伝子エクソン領域の欠損がみられた。しかし、N20の初期培養細胞の解析では、他のエクソン領域に比べて、エクソン8領域ゲノムがわずかながら残存していたことから、CD20でも欠損しやすい領域があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD20陽性B細胞性リンパ腫にいて、リツキシマブ投与後にCD20遺伝子の欠落という新しい現象が起きることを見出した。そのCD20遺伝子の中でも早期に欠落しやすいエクソン領域があることを突き止めた。よって本研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
CD20(MS4A1)遺伝子はmembrane-spanning 4A(MS4A)遺伝子クラスターの一つである。本年度得られた研究結果を発展させるべく、次年度はCD20遺伝子近傍に位置するMS4Aクラスター遺伝子も同時に欠落するかどうかを明らかにし、CD20遺伝子欠落機序の一端を解明したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬を中心に物品費の支出を必要最低限に抑えて予算を執行したため、若干の繰越金が発生した。 次年度も引き続き遺伝子検出関連試薬、蛋白発現解析用試薬、プラスティック器具、細胞培養関連試薬などの物品費を中心に予算を計上する。また必要に応じ備品購入に充てる。
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