研究課題
【目的】本申請研究では、研究代表者が発見したエクソソーム(Exo)の細胞指向性送達理論に基づき、Exoの表面抗原CD63に対する抗体とsiRNAを結合させた新規抗体薬物複合体を用いて、多発性骨髄腫 (MM) 細胞から分泌されたExoを捕捉し、MM細胞内に選択的にsiRNAを送達する“Exo捕捉型核酸医薬品”開発の基礎的検討を行う。【実施内容・意義】COVID-19のパンデミック感染による研究制限により、縮小せざるを得なかったため、「D. エクソソーム分泌と抗腫瘍効果の相関の検討」ならびに「E. Exo捕捉型siRNAの体内動態」の一部を行った。複数のMM細胞株への抗体-siRNA複合体の取り込みを確認し、さらにこの取り込みがエンドサイトーシス抑制化合物により抑制されることを確認した。これらのことより、CD63抗体によるExo補足型siRNA複合体はMM細胞から分泌されるExoに結合し、有効にMM細胞内で機能を発揮することが明らかとなった。またExoと結合した本複合体の取り込み機序の1つとして、MM細胞のエンドサイトーシスによるExoの取り込みが関与することが示唆された。次に、Exo捕捉型siRNAの健常マウスの体内動態を検討した。まずsiRNAをIn-111でRI標識を試みた。p-SCN-Bn-DTPAを用いてsiNRAにDTPAを導入した。薄層クロマトグラフィー(TLC)で導入を確認後、リンカーとして用いるArg-9rを導入したIgG抗体と反応させ、TLCでIn-111標識したsiRNAとIgG抗体が結合した複合体の生成を確認した。このIn-111標識複合体を健常マウスに経尾静脈的に投与し、骨組織に高集積していることを確認した。
3: やや遅れている
昨年2月からのCOVID-19のパンデミックな感染拡大により、本学では、全職員は50%以上の自宅勤務の義務化がなされ、昨年2月から9月まではほぼ研究活動停止が停止された。その後一時的に緩和されたものの、オンライン講義の充実のための対策のため、教学に要する時間がかなり多く、研究のエフォートは数%程度である状況が現在も続いている。研究制限は若干は緩和されたものの今も継続されており、物理的に研究ができない状況下にある。
今も研究活動は制限下にあるが、制限はやや緩和されており、昨年度の遅れを可能な限り取り戻すよう、遂行する。複数のMM細胞株に対する本複合体の導入効果、可能なら他の造血器腫瘍細胞株へ抗腫瘍効果を検討する。またin vivo系での抗体・siRNA複合体の動態「担がんマウスにおける体内動態検討し、引き続き、本複合体のMM正所性担がんモデルマウスの治療効果を検証する。
2019年度2月からCOVID-19によるパンデミック状態により、2020年度は自宅勤務を余儀なくされ、さらに9月まで研究活動は大幅に制限された状態であった。その後若干緩和はされたものの、2020年度の研究活動は大幅に制限されたため、使用額が減少し、511,004円の残額が生じた。次年度は、「E. Exo捕捉型siRNAの体内動態」のうち、担がんマウスでの本複合体の体内動態の解析を中心に進め、かつ「C. Exo捕捉型siRNAのMM細胞に対する抗腫瘍効果」、「D.エクソソーム分泌と抗腫瘍効果の相関の検討」の研究項目の確認実験の追加を中心に行うため、これらのうち、主に項目「C」に使用する予定である。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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