研究課題/領域番号 |
19K08831
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
堺田 恵美子 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (60422218)
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研究分担者 |
三村 尚也 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (00422220)
塚本 祥吉 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00814617)
中世古 知昭 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (30323398)
大和田 千桂子 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80436352)
武内 正博 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50466702)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アミロイドーシス / 形質細胞 / クロナリティ / 微小残存病変 |
研究実績の概要 |
全身性ALアミロイドーシスは線維構造を有するアミロイド蛋白が全身臓器に蓄積し、種々の臓器障害をきたす難治性の骨髄腫類縁疾患であり、国の難病指定疾患のひとつである。アミロイド蛋白は、微量のモノクローナル形質細胞が産生するモノクローナル免疫グロブリン(M蛋白)軽鎖に由来するものである。しかし、その病因、遺伝学的特性は同定されておらず、有用な治療法や治療モニタリングに応用可能な微小残存病変(MRD)の同定に至っていない。 そこで本研究では、AL アミロイド―シスの骨髄形質細胞に着目し、網羅的遺伝子解析と遺伝子発現解析に加え、単一細胞レベルで遺伝子変異解析とRNA発現解析、免疫グロブリンのレパトア解析を行うことにより病態の解明を行うことを目的としている。 千葉大学血液内科と日本赤十字社医療センターとの共同研究として研究を継続中であり、IMGT/HighV-QUEST法およびVidjil法用いてIGLVレパトア解析およびモノクローナル形質細胞の同定を行った。 解析対象はλ型M蛋白陽性のALアミロイドーシス, 多発性骨髄腫, 意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(MGUS)である。IMGT解析、Vidjil解析を用いた解析を行い、ALアミロイドーシスの84%でクローンが同定可能であった。ALアミロイドーシスで同定したdominant cloneのIGLV familyと障害臓器の関連に関して検討したところ、ALアミロイド―シスの心障害および腎障害合併症例では、ともにIGLV1-51が最多クローンであった。海外からの既報では、心障害あり群でIGLV1-44、腎障害あり群でIGLV6-57が多いなどの報告があるが、今回解析結果においては異なるレパトアが使用されており、日本人における特有のパターンである可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シークエンサーを用いた解析は、おおむね順調に経過している。 シングルセル解析については、初発もしくは再発ALアミロイドーシスの検体を解析対象としているため、適切な検体の確保にやや難渋しており、今後、共同研究施設における検体確保に向けてプロトコールを修正すべきか検討を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次世代シークエンサーを用い、ALアミロイドーシスのクローン同定に成功しており、今後、さらに検討数を増やして解析を行う。本検討結果と、他疾患のクロナリティ―の相違解析、さらに臨床情報との統合解析を進める。具体的には、ALアミロイドーシスのクローンサイズと治療効果、予後解析、さらには臓器特異性の検討をさらに進める予定である。 また、形質細胞のシングルセルRNAシークエンスによる網羅的遺伝子発現解析とともに、骨髄間質細胞の網羅的遺伝子解析についても、準備を開始している。シングルセル解析検体数の確保のため、共同研究施設拡大による検体確保の可能性を模索しており、プロトコールの改正を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
次世代シークエンサー、シングルセル解析準備に計上していた研究費について、次年度使用額として繰り越しが生じた。次世代シークエンサー解析のために入手したALアミロイドーシス検体、コントロール検体については、解析のためのライブラリを作成しているが、年度末の段階にて、確保検体数が予測よりも少なかったために、2020年度にあわせて解析を行う予定としており、次年度使用額として繰り越した。シングルセル解析についても、基礎検討の段階にあり、次年度以降の検査費用として繰り越した。
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