研究実績の概要 |
骨髄増殖性腫瘍(MPN)から転化した二次性急性骨髄性白血病(sAML)における経時的遺伝子変異解析から、MPNとsAMLとが共通して有するinitiating変異の候補とした、3つの遺伝子、zinc finger protein 143(ZNF143)、SWI/SNF-related, matrix-associated, actin-dependent regulator of chromatin, subfamily c(SMARCC2)およびubiquitin protein ligase E3 component N-recognin 4(UBR4)について、次世代シーケンシング(NGS)による3遺伝子の全エクソンDNAシークエンス解析系の確立を試みた。 ZNF143およびSMARCC2では全エクソン、UBR4では106エクソンのうち102エクソン、また、MPNにおけるドライバー変異であるJAK2、CALR、および、MPLの各変異を解析対象としたDNAシーケンス解析系を確立した。臨床検体の集積においては、新たなMPN症例10例に加え、新たなsAML検体も集積された。確立したDNAシーケンス解析系を用い、これら臨床検体においてMPNまたはsAML症例61例、76検体について解析を行っており、さらに解析を継続している。また、ドライバー変異であるJAK2、CALR、または、MPL変異については、いずれの変異も検出されない既知のドライバー変異陰性MPNと考えられる検体も認められた。 臨床検体における遺伝子変異解析とともに変異遺伝子の機能解析を進める計画であったが、前者が計画よりも早期に進行しており、解析結果から機能解析の対象とする遺伝子変異の再検討を行っている。今後、臨床検体での変異解析を進めるとともに、解析の対象として選択した変異遺伝子の機能解析を進める予定である。
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