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2021 年度 実施状況報告書

ATLにおける制御性T細胞の選択的な増殖機構:OX40L/OX40に着目して

研究課題

研究課題/領域番号 19K08843
研究機関琉球大学

研究代表者

水口 真理子  琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40581541)

研究分担者 田中 勇悦  琉球大学, 医学部, 産学官連携研究員 (30163588) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードHTLV-1 / ATL
研究実績の概要

ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)は、感染者のうち約5%に成人T細胞白血病(ATL)を引き起こす。急性型ATLは末梢血中のCD4陽性T細胞の異常増殖を特徴とするため、末梢血中のATL細胞は積極的に増殖していると考えられてきたが、実際にはATL細胞がどの組織で増殖しているかは不明であった。本年度は、ATL細胞が末梢血中よりもリンパ節で増殖していることを、以下の結果より明らかにした。
1)沖縄県在住のATL患者の末梢血およびリンパ節から単離したATL細胞を用いて、細胞増殖のマーカーであるKi-67の発現を解析した。リンパ節ATL細胞ではKi-67陽性細胞が平均65.8%であったのに対し、末梢血ATL細胞では21.8%であった。また、急性型ATL患者の末梢血ATL細胞において、Ki-67を発現していない症例が13例中8例あり、末梢血ATL細胞は積極的に増殖していないことを明らかにした。
2)急性型ATL患者の末梢血とリンパ節が同時に得られた検体を用いて、Ki-67の発現を解析すると、末梢血よりもリンパ節でKi-67を発現するATL細胞が多く見られた。これらの検体を用いてFoxp3の発現を比較したところ、末梢血ATL細胞とリンパ節ATL細胞の間で発現に差は見られなかった。
3)急性型ATL患者の末梢血ATL細胞では、Kruppel-like factor 2/6およびForkhead box proteinなどのT細胞の休止期誘導に関わる遺伝子群の発現が上昇していた。
これらの結果より、急性型患者のATL細胞は、リンパ節で増殖した後に末梢血中へ入ること、末梢血中のATL細胞は休止期に誘導されていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

患者末梢血およびリンパ節から単離したATL細胞を用いて、ATL細胞がリンパ節で増殖していること、また、末梢血中のほとんどのATL細胞が休止期であることを明らかにした。本研究の結果は論文に取りまとめ、Cancer Gene Therapyへ投稿し、受理された。

今後の研究の推進方策

今年度までにOX40を高発現する患者ATL細胞を選定した。これらの細胞が細胞増殖のマーカーであるKi-67を発現しているのかを解析し、OX40の発現が細胞増殖に関与するのかを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本年度は主に論文執筆を行ったため、物品費が抑えられた。次年度使用額は、本研究の目的をより精緻に達成するための研究の実施と論文掲載にかかる費用に充てる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Elevation of the Plasma Levels of TNF Receptor 2 in Association with Those of CD25, OX40, and IL-10 and HTLV-1 Proviral Load in Acute Adult T-Cell Leukemia2022

    • 著者名/発表者名
      Megumi Kato, Naoki Imaizumi, Reiko Tanaka, Mariko Mizuguchi, Masaki Hayashi, Takashi Miyagi, Junnosuke Uchihara, Kazuiku Ohshiro, Junpei Todoroki, Kennosuke Karube, Hiroaki Masuzaki, Yuetsu Tanaka, Takuya Fukushima
    • 雑誌名

      Viruses

      巻: 14 ページ: 751~751

    • DOI

      10.3390/v14040751

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Acute type adult T-cell leukemia cells proliferate in the lymph nodes rather than in peripheral blood2022

    • 著者名/発表者名
      Mariko Mizuguchi, Mitsuyoshi Takatori, Shugo Sakihama, Manami Yoshita-Takahashi, Naoki Imaizumi, Yoshiaki Takahashi, Hiroo Hasegawa, Kennosuke Karube, Takuya Fukushima, Masataka Nakamura, Yuetsu Tanaka
    • 雑誌名

      Cancer Gene Therapy

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41417-022-00475-0

    • 査読あり
  • [学会発表] 急性型ATL患者の末梢ATL細胞は増殖しない.2021

    • 著者名/発表者名
      水口真理子, 高鳥光徳, 崎浜秀悟, 髙橋真奈美, 今泉直樹, 高橋良明, 長谷川寛雄, 加留部謙之輔, 福島卓也, 中村正孝, 田中勇悦
    • 学会等名
      第7回日本HTLV-1学術集会
  • [学会発表] 新規HTLV-1中和モノクローナル抗体の作製.2021

    • 著者名/発表者名
      高橋良明, 志田壽利, 宮城拓也, 田中礼子, 水口真理子, 田中勇悦
    • 学会等名
      第7回日本HTLV-1学術集会
  • [学会発表] 拡大培養NK細胞とヒト化HTLV-1中和単クロン抗体を介したADCCによる自家HTLV-1産生細胞の駆逐.2021

    • 著者名/発表者名
      田中勇悦, 田中礼子, 水口真理子, 高橋良明, 浦野恵美子, 保富康宏, 福島卓也
    • 学会等名
      第7回日本HTLV-1学術集会
  • [学会発表] ATLバイオマーカーとしての可溶性TNF受容体2型抗原:可溶性CD25・OX40量との相関性と自然免疫系からの放出.2021

    • 著者名/発表者名
      加藤愛美, 田中礼子, 水口真理子, 今泉直樹,田中勇悦, 福島卓也
    • 学会等名
      第7回日本HTLV-1学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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