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2020 年度 実施状況報告書

脱アシル化酵素サーチュインを標的とした新規白血病治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K08851
研究機関福岡大学

研究代表者

小迫 知弘  福岡大学, 薬学部, 准教授 (40398300)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードATL / エピジェネティック
研究実績の概要

成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の長期感染期間を経て発症することから、HTLV-1感染細胞の遺伝子異常に加え、エピジェネティックな異常や宿主の老化との関連が示唆される予後不良の悪性疾患である。一方、サーチュイン(SIRT1~7)は長寿遺伝子として注目されており、エネルギー代謝からがん化に至る多くの生命機能に関与している。申請者は、SIRT1がATL患者で高発現し、新規合成したサーチュイン阻害剤がin vitroでアポトーシス及びオートファジーを介してATL細胞の細胞死を導くことを報告した。しかし、がん化の促進因子であるSIRT7に特異的な薬剤に関する報告はない。本研究では、エピジェネティックを標的とした新規SIRT2阻害剤のin vivoでの効果及び新規SIRT7阻害剤による白血病細胞株の細胞死について検討する。
新規SIRT2阻害剤(20mg/kg)のATLモデルマウスへの腹腔内投与(週3回)後、48週齢でのATL発症マウスの匹数及び腫瘍量を指標に、ATLの発症予防及び抗腫瘍効果を評価した。ATLモデルマウスにおいて、新規SIRT2阻害剤は腫瘍細胞の臓器浸潤を抑制したが、腫瘍体積を有意に減少させなかった。
新規SIRT7阻害剤合成の進捗が遅れている。一方、サーチュイン活性化剤は乳癌において抗腫瘍効果を示すとの報告があることから、SIRT7阻害剤合成後の更なる評価系の充実に向けてSIRT1活性化剤をin vitroで評価した。SIRT1活性化剤はアポトーシスを伴う細胞増殖抑制効果を示した。
今後、新規SIRT7阻害剤をはじめとするエピジェネティックを標的した薬剤のATL細胞における検討を行い、エピジェネティック制御薬剤の臨床応用に対する可能性を探索したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2つの目標のうち①に遅れが生じているため。
①の評価系の充実に向けて、in vivoにおけるエピジェネティック制御薬剤の評価を予定している。
目標①Ex vivo及びin vitroにおける新規SIRT7阻害剤の細胞増殖抑制効果とそのメカニズム
目標②In vivoにおける新規サーチュイン阻害剤の抗腫瘍効果及び腫瘍免疫への影響

今後の研究の推進方策

目標①Ex vivo及びin vitroにおける新規SIRT7阻害剤の細胞増殖抑制効果とそのメカニズム
:新規SIRT7阻害剤の合成を急ぐ。そこで、SIRT7阻害剤合成後の更なる評価系の充実に向けてエピジェネティック制御薬剤のin vitroでの評価を行う。
目標②In vivoにおける新規サーチュイン阻害剤の抗腫瘍効果及び腫瘍免疫への影響
:SIRT2阻害剤を20mg/kgに増やして検討したところ、ATLマウスにおいて腫瘍体積の減少は確認出来なかったため、in vitroで細胞増殖抑制効果が確認された薬剤での検討を予定する。

次年度使用額が生じた理由

コロナウイルス感染拡大のため、国際学会での発表が不可能であった。
今年度は、オンライン開催の国際学会を含め、国内外の学会で発表する予定である。
また、in vitroで細胞増殖抑制効果が認められたエピジェネティック制御薬剤を用いて、in vivoにおけるマウスの実験例数を増やす予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Guidelines for the Use and Interpretation of Assays for Monitoring Autophagy (4th edition)2021

    • 著者名/発表者名
      Daniel J Klionsky, Amal Kamal Abdel-Aziz,Sara Abdelfatah,Mahmoud Abdellatif,Asghar Abdoli,Steffen Abel, Tomohiro Kozako, , Claudine Kraft et al.
    • 雑誌名

      Autophagy

      巻: 17 ページ: 1-382

    • DOI

      10.1080/15548627.2020.1797280

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Antithrombin gamma attenuates macrophage/microglia activation and brain damage after transient focal cerebral ischemia in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Nakano T, Nakamura Y, Irie K, Okano S, Morimoto M, Yamashita Y, Kozako T, Hayashi T, Honda SI, Matsuo K, Kamimura H, Ishikura H, Egawa T, Mishima K.
    • 雑誌名

      Life Sci

      巻: 252 ページ: 117665

    • DOI

      10.1016/j.lfs.2020.117665.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] AICARによるヒトT細胞白血病ウイルス1型感染細胞株の細胞死誘導機序2021

    • 著者名/発表者名
      相川 晃慶、山崎 七恵、堀ノ内 好香、小迫 知弘、佐藤 陽菜、大杉 剛生、本田 伸一郎
    • 学会等名
      日本薬学会第141年会(広島、Web開催)
  • [学会発表] 成人T細胞白血病におけるSRT1720の抗腫瘍効果2020

    • 著者名/発表者名
      小迫 知弘、加藤奈歩、大杉剛生、相川 晃慶、佐藤 陽菜、本田 伸一郎
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会(神戸、Web開催)
  • [図書] Epigenetic Control Using Small Molecules in Cancer2020

    • 著者名/発表者名
      Tomohiro Kozako, Yukihiro Itoh, Shin-ichiro Honda, Takayoshi Suzuki
    • 総ページ数
      483
    • 出版者
      Springer Nature
    • ISBN
      978-3-030-32857-3

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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