成人T細胞白血病(ATL)患者のほとんどは治療抵抗性を示し、特に急性型のほとんどの患者が発病後1年以内に死亡し予後不良である。従って、腫瘍細胞の増殖を効果的に抑制するような、新規作用機序の薬剤によるATL治療法の確立が、焦眉の急となっている。我々が合成した新規SIRT2阻害剤は、ATL細胞を細胞死に導いた。また、SIRT1活性化剤のSRT1720はSIRT1非依存的にカスパーゼ非依存的なアポトーシス及びオートファジーを伴う細胞死を誘導し、腫瘍抑制の効果が得られることが示唆された。今後サーチュインを標的とした薬剤が、白血病治療薬の選択肢の一つとなることができるよう、研究開発を継続していきたい。
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