研究課題
再発・難治性後天性赤芽球癆の病態に、造血に関わる遺伝子の後天性変異が関与している可能性を検証する作業仮説として、後天的遺伝子変異がにおける病態解明と新規治療開発の基盤形成を目的として、成人後天性赤芽球癆38例の骨髄系腫瘍関連遺伝子の体細胞変異の有無をターゲット・シーケンスを用いて解析した。38例中27例において、少なくとも一つ以上のリファレンスゲノムシーケンスと異なる遺伝子配列を同定した。変異の部位はアミノ酸翻訳領域が46種類、アミノ酸非翻訳領域が14種類であった。変異アリルの頻度は0.023~0.597の範囲にあり、高頻度および低頻度の遺伝子多型(SNPs)が含まれていることが示唆された。現在、これらの遺伝子変異の臨床的意義について複数の遺伝子変異データベースと照合中である。また、今回体細胞遺伝子解析を行った症例の免疫抑制療法に対する反応性と変異の内容との関連についても解析を行っているが、我々の当初の作業仮説が正しいことを強く示唆する結果と考えられる。体細胞変異の遺伝子の種類および部位が明らかになった時点で、それらの遺伝子異常の機能解析をin vitroおよび動物実験モデルを使って明らかにすることが望まれる。
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