研究課題
小児HLは小児がんの中でも治療成績のよい疾患の一つである一方で、二次がん発症率が最 も高く、細胞性免疫不全の存在が示唆されている。また、アジアにおける小児HLの発症率は 欧米と比し極端に低く、日本では年間15例程度にとどまっている。これらよりHL発症者に細 胞遺伝学的な個体差があることが推測されているが、その詳細はわかっていない。 2015年より申請者を研究代表者として、日本初となる小児HLに対する前方視的第II相臨床 試験(HL-14)が開始され、HLの臨床背景が初めて明らかになる見込みである。近年、分子 標的薬や抗PD-1抗体療法の有用性が示されている。本研究では腫瘍細胞、bystander細胞と 末梢血の網羅的遺伝子解析を行うことにより、腫瘍に適応化された免疫不全状態の実態を解 明し、これらを改善させる因子を同定する。本成果は、HLに対する免疫療法を最大限に引き 出す治療法確立に資するものと期待され、次期アジア国際試験につなげたいと考えている。2021年度は2020年3月にHL-14登録終了したことを受け、初発時検体処理と血清サイトカイン測定、次期試験開始準備を行った。小児HLは低~中間リスクにおいてすでに高い確率の生存率が得られているがために、新規治療薬の治療対象となっておらず、高リスク(進行期)における治療開発のみが進んでいる状況である。しかしながら、低~中間リスクであっても二次がんなどのリスクが高いことから、小児およびAYA世代HLに対する真の治療開発を考えたとき、これらのリスク群でも新規治療薬導入による従来の治療を軽減させることで、晩期合併症回避による恩恵を受けるはずであり、全リスクへを対象とした新規治療薬開発を行うことに意義がある。
2: おおむね順調に進展している
2021年度は2020年3月にHL-14登録終了したことを受け、初発時検体処理と血清サイトカイン測定,次期試験開始準備を行った。を行った。おおむね順調に進展している。
HL-14臨床試験の転帰解析を行い、初診時血清サイトカイン測定の中から見出したバイオマーカーとの相関を検討する。他、FACSによるリンパ球表面マーカー測定: T細胞の体内分布不均衡、RS細胞を取り囲む 浸潤細胞の特徴を把握する目的で、患者全血および骨髄のフローサイトメトリー(T, BおよびNK細胞に対するモノクローナル抗体を用いたリンパ球の表現型分析)解析を 施行。S1P1他、T,B, NK, MonocyteなどのLieneage markerの他、CD4/8比、CD45RO、H LA-DR、CD25などの活性化抗原、TCR repertoire、Immunogloburin について検討する。
サイトカイン測定分、データ収集解析より論文作成費用に使用予定。
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