小児ホジキンリンパ腫(HL)は、治療成績のよいが二次がん発症率が高い疾患であり、細胞性免疫不全が示唆されている。アジアでは発症率が極端に低く、日本では年間15例程度にとどまっている。2015年より、日本初の小児HLに対する前方視的第II相臨床試験(HL-14)が開始され、HLの臨床背景が明らかになる見込みである。近年、分子標的薬や抗PD-1抗体療法の有用性が示されている。本研究では、腫瘍細胞、bystander細胞と末梢血の網羅的遺伝子解析を行い、腫瘍に適応化された免疫不全状態の実態を解明し、これらを改善する因子を同定することで、HLに対する免疫療法を最大限に引き出す治療法の確立に資するものと期待される。また、次期アジア国際試験につなげたいと考えている。2023年度はHL-14登録終了したことを受け、germline検体を用いて、免疫スクリーニング検査を行った。本検査はタンパク質コード領域エクソンとその両端のスプライス部位領域を、次世代シークエンサーで解析し、主に検出されたアレル頻度 1%以下の稀なバリアントについて検討した。小児HLは低~中間リスクにおいてすでに高い確率の生存率が得られているが、新規治療薬の治療対象となっていない。しかし、低~中間リスクでも二次がんなどのリスクが高いことから、新規治療薬導入による従来の治療を軽減させることで、晩期合併症回避による恩恵を受けることができる。全リスクを対象とした新規治療薬開発を行うことが意義がある。
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