リボソームはタンパク質を合成する装置で、全身の細胞に存在する。しかし、その異常は特定の組織の異常(疾患)を引き起こす。それは、組織ごとに異なる翻訳調節のしくみがあるためと推測した。代表的な疾患である先天性貧血を、ゼブラフィッシュを用いて再現(特定のリボソームタンパク質の発現を抑制)し、貧血を引き起こす分子メカニズムの解明に挑んだ。その結果、造血に関与する遺伝子に加え、糖鎖の生合成に関与する遺伝子の翻訳効率が低下することを見出した。また、この遺伝子の過剰発現により赤血球数が回復することも確認した。リボソームタンパク質が関与する遺伝子特異的な翻訳調節機構が正常な赤血球造血に必要であると考えた。
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