研究課題
本研究の目的は、血小板産生過程における血小板内で生じるautophagyの役割を明らかにすることである。マウスを用いた検討では、新生血小板ではautophagyの亢進を認めた。また生理的にはこのautophagyの亢進の目的は、個々の血小板内でのオルガネラの適正分配に関与していることが示された。一方で病的な環境(過剰にautophagyが亢進すること)が、ITP(免疫性血小板減少性紫斑病)の大部分、およびMDS(骨髄異形成症候群)の患者の一部で、観察された。興味深いことに、このようなMDSの患者は、proplatelet形態から個々の新生血小板へ分離が障害されている所見を得た。これは過剰なautophagyが血小板産生を障害する可能性を示している。これらの知見から以後の副次的の研究へ移行した。ITPの臨床診断は、基本的には除外診断であり、specificな診断項目に乏しい。そこでITPではautophagosome形成が亢進していることを利用し、血小板減少症の鑑別診断方法となることが明らかにした。またITP、慢性骨髄性増殖性疾患、ホジキン病患者などにおいて、末梢血中の血小板におけるautophagosome形成とPDL-1分子の発現が増加し、他の免疫細胞を介して血小板のautophagyを変動させる可能性が示唆された。これらの疾患におけるCD8陽性リンパ球上のPD-1分子との関係を調べた。これまでの所、CD8リンパ球の特定のmemory機能をもつ細胞集団が、これらの関係を制御する可能性を見出しつつある。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件)
Internal Medicine
巻: 60 ページ: 2431‐2436
10.2169/internalmedicine.6793-20
臨床血液
巻: 62 ページ: 1499-1504
10.11406/rinketsu.62.1499
岩手医学雑誌
巻: 73 ページ: 165‐176