研究課題/領域番号 |
19K08877
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
近藤 裕也 筑波大学, 医学医療系, 講師 (40612487)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 制御性T細胞 / 転写因子 / RORγt / Foxp3 / IL-17 / 動物モデル |
研究実績の概要 |
マウス自己免疫性関節炎モデルを用いた解析では、Foxp3+制御性T細胞特異的にRORγtを欠損するFoxp3cre-RORγtflox/flox(RORγt conditional knockout;cKO)マウスに対するコラーゲン誘導関節炎の検討を実施し、関節炎発症後早期にはコントロールマウスと比較して関節炎スコアに有意な差が無かったが、後期に有意に高いことが確認された。抗原であるタイプIIコラーゲン(CII)を免疫後のマウスのリンパ節では、cKOマウスにおいてRORγt+Foxp3+制御性T細胞が検出されなかったが、リンパ節細胞をCII存在下において培養した際の、培養上清中のIL-17、IFNγ産生量に有意な差は認められなかった。一方で、関節発症後に関節局所で認められるRORγt+Foxp3+制御性T細胞がcKOマウスでは有意に減少していることから、RORγt+Foxp3+制御性T細胞が関節局所において炎症制御に関与している可能性が示唆された。引き続き、詳細な解析を継続している段階である。 ヒトの末梢血検体を用いた解析では、無治療の関節リウマチ(RA)患者および健常人(HC)の末梢血中のCD4+T細胞における、制御性T細胞分画でのRORγt発現に注目して解析を行っており、HCと比較してRAにおいてFoxp3+制御性T細胞におけるRORγt発現が高い傾向にあることを見出している。更なる症例集積とともに、今後臨床データとの関連についても精査を行う方針としている。また次世代シークエンサーを利用して、制御性T細胞における発現変動遺伝子の詳細についても解析することを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コンディショナルノックアウトマウスを用いたマウス関節炎モデルの解析においては、結果を集積できており、引き続き解析を継続できる見通しを立てているが、もともと予定していた表面抗原を用いた方法によって注目しているRORγt+Foxp3+制御性T細胞を分離するのが困難であることが明らかになり、現在新たなレポーターマウスの導入する準備を進める段階である。RORγt+Foxp3+制御性T細胞を分離して実施を予定していた詳細な解析については、今後の課題となっている。 ヒトの末梢血サンプルを用いた解析については、症例も集積されつつあり、現在データの解析を開始している状況にある。引き続き解析を継続し、将来的には次世代シークエンサーを用いたRNA-seqを実施できるように準備を進めていきたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
マウス関節炎モデルを用いた解析については、注目しているRORγt+Foxp3+制御性T細胞を分離することが課題となっている。これを達成するために、現在新たなレポーターマウス導入の準備を進めており、今後解析を行っていく予定となっている。 ヒト検体を用いた解析については、無治療患者に限定して検体を収集していることにより検体収集に時間を要しているが、現時点ではより多くの検体数を確保することを目的として、治療介入後の患者も含めて検体収集、および解析を行っていくことを検討している。
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