マウス自己免疫性関節炎モデルを用いた解析では、Foxp3+制御性T細胞(Treg)特異的にRORγtを欠損するFoxp3cre-RORγtflox/floxマウスに対するコラーゲン誘導関節炎(CIA)の検討を実施し、関節炎発症後早期にはコントロールマウスと比較して、関節炎発症後期に有意に高いことが確認され、RORγt+Foxp3+Tregの欠損が関節炎の遷延につながる可能性を見出した。野生型マウスにCIAを誘導後に、関節局所に浸潤する単核球分画を評価したところ、所属リンパ節と比較して関節局所におけるRORγt+Foxp3+Tregが有意に増加していることが確認され、RORγt+Foxp3+Tregが関節炎局所での炎症制御に関連していることが示唆された。また、RORγt+Foxp3+Tregはケモカイン受容体であるCCR6を高発現していたことから、CCR6発現によりRORγt+Foxp3+Tregを濃縮して細胞増殖抑制能をin vitroで解析したところ、CCR6陰性の非RORγt+Foxp3+Tregと比較して細胞増殖抑制能が高いことが確認された。この結果は、これまでにRORγt+Foxp3+Tregから抑制性サイトカインIL-10が高産生されている結果と矛盾しないと考えられた。 ヒトの末梢血検体を用いた解析では、無治療の関節リウマチ(RA)患者のCXCR3-CCR6+のTh17細胞様の性質を有したTreg分画においてRORγtを高発現していることが明らかになった。健常人との比較において、抑制能が高いとされるFoxp3-high CD45RA-のeffector Tregが有意に減少していること、またDAS28-ESRの負の相関関係が認められることが明らかになり、Th17細胞様TregがRAの病態制御に関連していることが示唆された。
|