研究課題/領域番号 |
19K08878
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
玉地 智宏 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任講師 (20456015)
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研究分担者 |
須藤 明 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (50447306)
鈴木 浩太郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (90554634)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IgE産生制御 / クラススイッチ |
研究実績の概要 |
成人食物アレルギーでは自然寛解は稀なため、原因食物の除去が必須であり患者のQOLは著しく低下する。近年、食物アレルギーの病態の中心をなす特異的IgE抗体の産生機構に関して、1) IgE産生形質細胞は短命であること、2) 胚中心におけるIgG1を経由したIgEへのクラススイッチがIgE産生に重要なことが明らかにされたが、アレルギー疾患で長期にわたりIgE産生が維持される機構は依然不明である。 IgE産生機構を解析するためにはクラススイッチがおきる2次リンパ組織の胚中心の解析が不可欠である。まず、in vitroにおいて、CD40LとBAFFを強制発現させた線維芽細胞をfeeder細胞として用いることで、胚中心B細胞を効率的に誘導する事に成功した。また、in vivoでB6マウスに羊赤血球を腹腔内投与して感作を行なうことで縦隔リンパ節に胚中心B細胞をを誘導した。さらに、生理的に胚中心が誘導されIgAクラススイッチの場であるパイエル板の解析も行ない比較検討することで、IgEをはじめとしたクラススイッチにおける誘導因子の同定を進めている。 またOVA/Alumの腹腔内投与で感作しOVA経口投与によって生じる食物アレルギーモデルを用いることで、IL-21R欠損マウスではIgEの産生が増強する一方で、臨床症状には乏しく、その機序としてIL-21が腸管への肥満細胞の集積を増強することを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既に食物アレルギーのモデルマウスの作成と解析が行える状況にあり、さらにIgEレポーターマウスを用いてリンパ組織のみならず腸管組織細胞のクラススイッチの解析も可能となっている。 前述のIL-21の食物アレルギーモデルマウスの解析に加えて、当初の計画である上皮由来のサイトカインや転写因子Xの解析もin vitro とin vivoの両面から進めている。 これらの結果を踏まえて、本研究計画はおおむね順調に進展しているものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
CD40LとBAFFを強制発現させた線維芽細胞をfeeder細胞として用いることで、胚中心B細胞を効率的に誘導することが可能となっており、in vivoの胚中心細胞も含め、様々なクラススイッチの条件下における遺伝子発現やIgE・IgG1・IgA産生細胞の時間・空間的な解析を行うことで、IgE産生制御機構を明らかにしていく。 また転写因子Xの欠損マウスの作成も進めており、食物アレルギーモデルも含めた多角的な解析を推進する予定ですある。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスの導入に時間がかかったため、それに関わる物品費の発生が次年度に繰越となっている。
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