研究実績の概要 |
自己免疫疾患やアレルギー疾患の分野では、自己反応性T細胞を標的とし免疫寛容に導く樹状細胞(tDCs)を用いた抗原特異的な治療が注目されている。我々は、Cキナーゼ阻害剤(PKCI)によってヒトtDCsが誘導されることを見出した。さらに、PKCI-tDCsの誘導に関与するmiRNAの同定をmiRNA arrayにて比較解析を行い、PKCI-tDCsに発現の高いlet-7c, miR-15a, miR-130a, miR-192など12種類のmiRNAをスクリーニングしている。それぞれのmiRNA mimicをリポフェクタミンを用いてDCsに導入し、抑制性サイトカイン産生、共役分子やCCR7発現を比較し、PKCI-tDCsと同様の表現型を誘導するmiRNAを検討しているが、現時点では、導入効率が悪く、目的とするmiRNAの同定はできていない。 また、シェーグレン症候群(SS)を対象として、自己抗原のHLA-DRB1拘束性のT細胞エピトープの解析を行い、抗原特異的免疫抑制療法の確立を目指している。すべてのSS患者から、PKCI-tDCsの誘導は可能であった。また、SS患者のHLA-DRB1を解析し、比較的多かったHLA-DRB1*0401, 0803, 0901, 1501などのalleleを持つ患者を中心に解析を行い、IEDB Analysis Resource の分析から、上記のHLA-DRB1に拘束されるM3ムスカリンアセチルコリン受容体(M3R)のT細胞エピトープ・アンカーモチーフのペプチドを推定し、上記の患者末梢血単核球にペプチドを添加し、IFN-gamma産生T細胞増加数の比較にて検討している。現時点では、それぞれの症例数が少なく、HLA-DRB1に拘束されるM3Rのペプチドは見出されていない。
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