研究課題/領域番号 |
19K08891
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
飯塚 麻菜 (小賀麻菜) 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80734821)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己免疫疾患 / CD4+ T細胞 / シェーグレン症候群 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(Sjogren's syndrome; SS) において、病態形成初期における浸潤CD4+ T細胞の活性化がその後の免疫応答を惹起することから、その活性化機序および臓器特異的集積機構を解明し制御することは、疾患特異的治療法を開発する上で非常に有用である。これまでに、SS患者の唾液腺局所においてIL-17やIL-23の発現が認められ、Th17細胞の病態への関与が示唆されている。SS様病態を自然発症するT細胞特異的にRORγtを過剰発現させたトランスジェニックマウス(Tg)を用いて、病態形成の中心となるCD4+ T細胞に焦点を当て、発症機序の解析を行った。 Tgマウスの唾液腺に浸潤したCD4+ T細胞 (SG CD4+ T細胞) をCD3欠損マウスに移入 (SG CD4+ T→CD3 KO) し、病態が誘導されるか否か検討した。その結果、SG CD4+ T→CD3 KOマウスの唾液腺において、T細胞を主体とする細胞浸潤が確認され、B細胞の集積も認められた。唾液分泌量の低下も認められ、SS様の唾液腺炎を発症していることが確認された。Tgマウスの唾液腺に浸潤したCD4+ T細胞が、腸間膜リンパ節で特異的に増殖することを見出した。そのため、唾液腺炎発症における腸内環境の関与について調べた。抗生剤カクテルを投与したCD3欠損マウスに、唾液腺に浸潤した病因CD4+ T細胞を移入した。その結果、腸間膜リンパ節での移入細胞の増殖は阻害され、唾液腺炎の発症が抑制された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シェーグレン症候群の発症に、腸内細菌叢が関与する事を明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの検討から、CD3欠損マウスに移入したTg由来唾液腺浸潤CD4+ T細胞(病因細胞) は、移入後すぐに腸間膜リンパ節に遊走し、活性化・増殖することが認められた。一方で、抗生剤カクテルを投与したCD3欠損マウスに病因細胞を移入しても唾液腺炎を発症しないことを明らかにしている。今後は、抗生剤の単剤投与により、重要な細菌群を決め、次世代シーケンサーによる菌叢解析を行う。さらに、Tgマウスを無菌化してそれぞれの菌を投与し、病因T細胞を誘導する菌を同定する。
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