研究課題/領域番号 |
19K08894
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
四元 聡志 東京薬科大学, 生命科学部, 助教 (30318191)
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研究分担者 |
どど 孝介 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 専任研究員 (20415243)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / 酸化リン脂質 / ミエロペルオキシダーゼ |
研究実績の概要 |
申請者は、NET形成を促進あるいは阻害する化合物(NET制御化合物)の同定およびその解析により、活性酸素の産生からNET形成に至るシグナル伝達に、細胞内エーテル型リン脂質の酸化亢進が関与していることを明らかにした。このことは、好中球に脂質酸化を制御する分子機構が存在し、これがNET形成の制御に重要な役割を担っていることを示す。本研究では、これまでに得られた知見をさらに発展させ、好中球におけるリン脂質酸化制御に関わる分子の同定を行った。本年度は、NET制御化合物の標的タンパク質3種類(ミエロペルオキシダーゼ(MPO)/FLAP/MGST1)を同定した。さらに、CRISPR/CAS9法を用いて3種の標的タンパク質それぞれを欠損したHL-60(好中球様に分化するヒト白血病細胞由来株化細胞)を作製してin vitoで検討したところ、MPO欠損HL-60においてのみNET形成および脂質酸化の亢進が観察されなかった。以上の結果より、NET形成の制御および脂質酸化の亢進にMPOが重要な役割を果たしていることをin vitroで証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酸化リン脂質によるNET形成を阻害する化合物の標的分子がミエロペルオキシダーゼであることを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
MPO欠損マウス由来好中球を用いて、MPOがNET形成および脂質酸化の亢進に関与するかin vitroで検討する。MPO欠損マウスは研究協力者より分与済みである。さらに、ヒト好中球のNET形成および脂質酸化の亢進にMPOが関与するかについてMPO阻害剤(4-ABAH)を用いて検討を行う。膠原病の発症や増悪にNET形成が関与するとの報告がなされている。MPO遺伝子が膠原病の発症および増悪に関与するか検討するため、膠原病モデルマウスを用いた評価系を構築する。
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