研究課題/領域番号 |
19K08904
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
石丸 かよ子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10710353)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 概日時計 / マスト細胞 / 脱顆粒 / REV-ERB / SR9009 |
研究実績の概要 |
本研究はI型アレルギー反応におけるREV-ERB分子の役割、とりわけREV-ERBアゴニストによるI型アレルギー反応の抑制機序を明らかにすることを目的とする。この知見は概日時計(時計遺伝子)とIgE受容体シグナルとの新たな関係性を明らかにする。SR9009をはじめとするREV-ERBのアゴニストは肥満や糖尿病などのメタボリックシンドロームや癌に対する治療薬として期待されている(Nat Rev Drug Discov 2014;13:197, Nature 2018;553:351)。したがって、本研究の知見はアレルギー疾患以外にも有用性をもつ夢のようなアレルギー創薬に繋がる可能性がある。 今年度は、 REV-ERBアゴニストSR9009がI型アレルギー反応を抑制する機序について主にin vitroで解析した。 その結果、SR9009はIgE刺激によるマウス骨髄由来マスト細胞(bone marrow-derived mast cells: BMMCs)の脱顆粒反応を顕著に抑制するとともに、Gab2, p65 (NF-kBサブユニット)のリン酸化も顕著に抑制していた。 これらの知見から、SR9009はGab2, p65の活性化を抑制してIgE受容体細胞内シグナル経路を抑制することが示唆された。また興味深いことに時計遺伝子Clock変異BMMCsでもSR9009はIgEによる脱顆粒反応を抑制したことから SR9009の抑制機序に概日時計機能は関与しないことが示唆された。本知見は、査読付き論文に公表した(Ishimaru et al. IJMS 2019)。SR9009によるIgEによるマスト細胞活性化(I型アレルギー反応)の抑制は強力であり、BMMCsだけでなく皮膚由来結合識型マスト細胞でも認められるため、創薬にあたり今後の展開が期待出来る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究はI型アレルギー反応におけるREV-ERB分子の役割、とりわけREV-ERBアゴニストによるI型アレルギー反応の抑制機序を明らかにすることを目的とする。今年度は、 REV-ERBアゴニストSR9009がI型アレルギー反応を抑制する機序について主にin vitroで解析し、SR9009はGab2, p65の活性化を抑制してIgE受容体細胞内シグナル経路を抑制することが示唆された。また興味深いことに時計遺伝子Clock変異BMMCsでもSR9009はIgEによる脱顆粒反応を抑制したことからSR9009の抑制機序に概日時計機能は関与しないことが示唆された。本知見は査読付き論文に公表した(Ishimaru et al. IJMS 2019)。以上から研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はI型アレルギー反応におけるREV-ERB分子の役割、とりわけREV-ERBアゴニストによるI型アレルギー反応の抑制機序を明らかにすることを目的とする。上述のように、今年度、 REV-ERBアゴニストSR9009がI型アレルギー反応を抑制する機序について解析し、SR9009はGab2, p65の活性化を抑制してIgE受容体細胞内シグナル経路を抑制することが示唆された。また興味深いことに時計遺伝子Clock変異BMMCsでもSR9009はIgEによる脱顆粒反応を抑制したことからSR9009の抑制機序に概日時計機能は関与しないことが示唆された。しかしながら、これらの分子メカニズムは未だ不明であり、SR9009をはじめとするREV-ERBのアゴニストをアレルギー創薬に結びつけるにはそれらの解析が不可欠である。今後の研究は、この点にフォーカスして推進して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が順調に進展し、REV-ERBアゴニストSR9009がI型アレルギー反応を抑制する機序について主にin vitroで 明らかにすることが出来た。そのため、必要なマウス匹数、細胞培養に必要な試薬の量などを節約することが出来た。今年度に軽減できた経費は、次年度の重要な解析(SR9009によるGab2, p65の活性化抑制の分子メカニズムの解明)のために必要な経費(マウスや試薬等)として使用する計画である。
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