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2019 年度 実施状況報告書

関節リウマチ患者由来抗シトルリン化ペプチド抗体を用いた破骨細胞分化抑制剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K08908
研究機関広島大学

研究代表者

杉山 英二  広島大学, 病院(医), 教授 (70179167)

研究分担者 小澤 龍彦  富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (10432105)
應原 一久  広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (80550425)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード抗シトルリン化ペプチド抗体 / 関節リウマチ / SKGマウス / 破骨細胞 / 滑膜細胞
研究実績の概要

関節リウマチ(RA)は滑膜関節の炎症と破壊を主徴とする慢性の自己免疫疾患であるが、患者血清中にはシトルリン化タンパクに対する抗体(ACPA)の産生が特異的に認められ、診断に重要である。また、ACPAはRA発症以前から陽性になること、ACPAの抗体価が高いほど関節破壊が強いことから、ACPAのRA病態への関与が示唆されているが、ACPAやその抗原がRAの発症にどのように関わるかは不明である。これまで我々は、RA患者よりモノクローナルACPA(CCP-Ab1)を取得し、対応抗原とその病原性について検討し、その病原性を有する対応抗原はシトルリン化フィブリノーゲンであることを明らかにした。また、昨年度はラミナリン(LA)をSKGマウス腹腔内に投与することで自己免疫性関節炎を誘導するRAモデルマウスにおいて、CCP-Ab1を静注すると関節炎の増悪がみられ、血清IL-6、MMP-3、内因性ACPAが増加すること、関節周囲の骨吸収が亢進し、骨、滑膜境界部における破骨細胞の増加を明らかにした。さらに、このモデルを用いてCCP-Ab1、胚型CCP-Ab1(抗体遺伝子のCDR1, CDR2を初期型、胚型に戻した抗体)、対照IgGを静注し、6週間後の関節炎の誘導を上記項目について検討したところ、CCP-Ab1においてのみ関節炎、関節破壊の悪化が引き起こされた。胚型CCP-Ab1投与によって関節炎の悪化がみられないことから、ACPAは体細胞変異を繰り返すことによって、その病原性を獲得することが示され、現在この研究成果を論文投稿中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね順調である。昨年度は関節炎モデル(SKGマウス)を用いて、CCP-Ab1が関節炎の病態において病原性を有することを明らかにすることができた。また、胚型CCP-Ab1では関節炎の増悪がみられないことから、体細胞変異の重要性が明確になった。今後は、どのようなメカニズムでその病原性を発揮するのかを明らかにするために、RA滑膜細胞を用いて、炎症性サイトカイン、ケモカインの発現誘導、破骨細胞分化誘導におけるCCP-Ab1の効果を検討する。

今後の研究の推進方策

本年度はCCP-Ab1の病原性の発現メカニズムを明らかにするためにRA滑膜細胞を用いて検討するが、これまでの研究で、CCP-Ab1の対応抗原がシトルリン化フィブリノーゲン(cit Fbn)であることが判明したので、関節リウマチ(RA)滑膜細胞における炎症性サイトカイン、ケモカインの産生に対するCCP-Ab1, cit Fbnの関与を明らかにする。RA滑膜細胞培養系に各種濃度とCCP-1, cit Fbnで刺激、培養し、サイトカイン、ケモカインの遺伝子発現をqRT-PCR法で、蛋白発現をELISA法により検討する。本実験により、特異的に誘導されるサイトカインを同定することができれば、RA発症、進展に関わる病態の一端を明らかにすることができる。次にヒト破骨細胞分化誘導におけるCCP-Ab1, cit Fbnの作用に関する検討を行う。末梢血単球を細胞調整後、破骨細胞分化因子であるRANKLとM-CSF、各種濃度のCCP-1, cit Fbn存在下で5-10日間培養し、誘導された破骨細胞の同定はTRAP染色とOsteo plateを用いた骨吸収活性により評価する。また、破骨細胞分化のマスター転写因子であるNFATc1および破骨細胞特異的発現するCathepsin Kの発現をqRT-PCR法およびウエスタンブロット法で解析する。破骨細胞の分化には骨芽細胞に発現する分子により、コントロールされている、そこで、ヒト骨芽細胞と単球の共存培養系にCCP-Ab1とシトルリン化フィブリノーゲンを加え、骨芽細胞存在下における破骨細胞分化を、TRAP染色、Pit assayで観察・定量化する。

次年度使用額が生じた理由

令和2年度は関節リウマチ滑膜細胞を用いて、ACPAの自己抗原であるシトルリン化フィブリノーゲン(citFbn)の作用を検討する。滑膜細胞から産生される炎症性サイトカイン、ケモカインの発現に対するcit Fbnの効果を遺伝子レベル(qRT-PCR)と蛋白レベル(ELISA, bead assay)で検討するためにPCR試薬、ELISA kitを購入予定である。さらに、破骨細胞分化に対する効果を検討するために、破骨細胞分化誘導のための試薬、プレートを購入する。また、令和2年度は、上記実験に加えて、予備的にシトルリン化ビメンチン、シトルシン化エノラーゼの効果も合わせて検討するために、上記蛋白とその中和抗体を購入するために、研究費を増額し、研究を遂行する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Activin A Expressed in Rheumatoid Synovial Cells Downregulates TNFα-Induced CXCL10 Expression and Osteoclastogenesis.2020

    • 著者名/発表者名
      Kuranobu T, Mokuda S, Oi K, Tokunaga T, Yukawa K, Kohno H, Yoshida Y, Hirata S, Sugiyama E.
    • 雑誌名

      Pathobiology.

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1159/000506260

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TGFβ1 Regulates Human RANKL-Induced Osteoclastogenesis via Suppression of NFATc1 Expression.2020

    • 著者名/発表者名
      Tokunaga T, Mokuda S, Kohno H, Yukawa K, Kuranobu T, Oi K, Yoshida Y, Hirata S, Sugiyama E.
    • 雑誌名

      Int J Mol Sci.

      巻: 21 ページ: -

    • DOI

      10.3390/ijms21030800.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Serum CXCL10 levels are associated with better responses to abatacept treatment of rheumatoid arthritis.2019

    • 著者名/発表者名
      Yukawa K, Mokuda S, Kohno H, Oi K, Kuranobu T, Tokunaga T, Yoshida Y, Yamana J, Iwahashi M, Hirata S, Yamana S, Sugiyama E.
    • 雑誌名

      Clin Exp Rheumatol.

      巻: - ページ: -

    • 査読あり

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公開日: 2021-01-27  

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