研究課題
前年度までの実験結果より、関節リウマチ患者から得られた抗シトルリン化蛋白抗体(CCP-Ab1)の対応抗原はシトルリン化フィブリノゲン(cit-Fb)であり、CCP-Ab1は関節炎モデルマウスへの投与により、強い病原性を認めたために、cit-Fbの病原性への関与を明らかにする目的で、関節リウマチ滑膜細胞培養系にcit-Fbを添加して炎症性サイトカインの産生に対する効果を遺伝子、蛋白レベルで検討した。cit-Fbはtoll-like receptor 4 (TLR4)のシグナルの活性化を介して, CXCL10の発現を強く誘導したが、LPSの中和活性を有するポリミキシンB(PMB)によりCXCL10誘導作用が部分的に抑制されること、熱処理したcit-Fb試薬においてもCXCL10誘導作用が認められることから、試薬中のLPSの混入が疑われ、最終的にリムルス試験 (LAL assay)でLPSを測定し、cit-Fb試薬(1μg/ml)から0.3 ng/ml相当のLPS活性を認めた。TLR4関連実験では、簡便なLPS検出法としてPMX中和作用や熱処理法が用いられているが、その効果は部分的であり、判断に難渋することが多い。LPSはリピッドA、コア多糖体、O抗原多糖で構成されるが、O抗原多糖が欠失したLPS変異体(R-LPS)が存在し、コア多糖の付加の程度によりRa, Rc, Re-LPSに分類され、これらの変異体のLPS活性はそれぞれ異なる。そこで、Re-LPSを用いて検討したところ、大腸菌由来のLPS(wild-type LPS)のサイトカイン誘導作用を濃度依存性に抑制するとともに、LPSの混入したcit-Fb試薬によるCXCL10誘導をほぼ完全に抑制したことから、Re-LPSのLPS拮抗作用は、LPSの混入を迅速に検出するための有用なツールになると考えられた。
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Pathobiology
巻: 89 ページ: 92-100
10.1159/000520022
Rheumatology (Oxford)
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