研究課題/領域番号 |
19K08909
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳平 愛媛大学, 医学系研究科, 助教 (20734239)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレルギー性疾患 / Th2細胞 / オートファジー |
研究実績の概要 |
アレルギー性疾患の病態形成の大きな要因となるTh2細胞やTh2細胞の亜集団であるIL-33受容体を発現するTh2細胞(IL-33R-Th2細胞)分化・機能におけるRab分子の役割を解明することを目的に研究を実施した。本研究は、Rab分子によるIL-33R-Th2細胞分化・機能発現の制御について解析を行い、慢性アレルギー性炎症の病態形成機構におけるRab分子群の役割を解明することで、アレルギー疾患治療の新たな開発戦略の提示を目指す研究である。本年度は、レトロウイルスベクターを用いた過剰発現系を用いて同定した3種のRab分子の、IL-33R-Th2細胞分化・機能における役割について解析した。同定したRab分子の内、2種のRab分子を過剰発現させたIL-33R-Th2細胞でIL-5/IL-13産生が部分的に減少した。さらに、私たちが見出したIL-5産生Th2細胞分化やIL-33R-Th2細胞分化に対し抑制作用を持つ低分子化合物を処理することでIL-33R-Th2細胞の核内Rab分子の発現が増加した。これらのことからRab分子はIL-33R-Th2細胞分化・機能に対し抑制的に働く可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたCD4T細胞を用いたCRIPR-Cas9によるRab分子のノックアウトアッセイは、標的配列を導入した際、細胞増殖が著しく減少したため、本年度は、レトロウイルスベクターを用いたRab分子の過剰発現系を用いて解析を行った。昨年度に同定した2種のRab分子に加え、本年度は新たにIL-5産生Th2細胞分化を制御する可能性のあるRab分子を1種同定した。これら同定した3種Rab分子のIL-33受容体発現Th2(IL-33R-Th2)細胞分化・機能に対する作用について過剰発現系を用いて検討した結果、2種のRab分子で、抗原非依存的なIL-5/IL-13産生細胞の減少がみられた。さらに、IL-33R-Th2細胞分化の抑制作用を持つ低分子化合物を処理することで、IL-33R-Th2細胞の核内Rab分子の発現が増加した。以上のことから、同定したRab分子は、抗原特異的なIL-5産生Th2細胞分化および、抗原非依存的なIL-5/13産生IL-33R-Th2細胞分化・機能に対し抑制的な作用を持つ可能性が示された。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに同定した3種のRab分子のTh2細胞分化およびIL-33R-Th2細胞分化・機能の抑制機構に関して、Rab-オートファジーの役割を中心に解析する予定である。サブセットが複数あるCD4T細胞のオートファジー解析は困難であることが予想されるため、サブセットの影響が少ないCD8 T細胞で解析条件を確立し、CD4 T細胞の解析に応用していく予定である。解析は遺伝子発現、ウエスタンブロット、バイオイメージング、フローサイトメトリーを中心に実施する予定である。
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