研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、SH-2251結合分子として同定したRab分子群のTh2細胞分化及びIL-33受容体発現Th2(IL-33R Th2)細胞分化に対する作用を解析した。これまでに用いたin vitro のCRISPR-Cas9ノックアウト(KO)システムは、Cas9タンパクとgRNAの同時トランスフェクションのため、KO効率が悪いことが問題点であった。そのため本年度は、Cas9が発現するTgマウスのT細胞を用い、gRNAのみトランスフェクションを実施することで、標的分子のKO効率を上昇させた。Rab分子群KO Th2細胞を解析した結果、Rab分子群KO Th2細胞は、コントロールTh2細胞と同程度にIL-4, IL-5, IL-13産生細胞へと分化した。これに加え、IL-33R Th2細胞分化は、Rab分子群KOとコントロール細胞との間で大きな差は認められなかった。昨年度の結果から、レトロウイルスを用いたRab分子群の過剰発現系においても、Th2細胞分化及び、IL-33R Th2細胞分化に大きな差が見られないことから、Rab分子はTh2細胞分化及びIL-33R Th2細胞分化に影響を与えない可能性が考えられた。そのため、本年度は、新たにビオチン標識したSH-2251を作製し、免疫沈降法と質量分析により、再度SH-2251結合分子の探索を行い、Rab分子群以外のSH-2251結合候補分子を新たに複数同定した。さらに、本年度は、オートファジーとTh2細胞やIL-33R Th2細胞分化の関係を明らかにするため、T細胞におけるオートファジー解析法の確立をおこなった。今後、新たに見出したSH-2251結合分子やオートファジーのTh2細胞分化やIL-33R Th2細胞分化・機能への関与を明らかにすることで、これら細胞が関与するアレルギー性疾患の根治療法の開発につなげたいと考えている。
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