研究課題
家族性地中海熱(FMF)は関節炎および漿膜炎による発熱の再発を特徴とし、pyrinをコードする地中海熱(MEFV)遺伝子の多型/変異が深く関与する自己炎症疾患である。研究代表者らの先行研究により本邦のFMFにおけるMEFV遺伝子変異/多形のパターンは、古典的な地中海沿岸地域のFMFとは大きく異なることが示唆され、日本人ではエクソン10の変異の割合が少なく成人発症例が多いことを明らかにした。また、研究代表者はFMF患者の発作期と非発作期におけるサイトカインプロファイルを明らかにし、IL-6、IL-17、IL-18が診断に有用である結果を明らかにしたが、患者の層別化や治療反応性を予測する因子は同定されていない。本研究では臨床情報が統合されたFMFレジストリを活用し、ゲノム解析、血清サイトカイン解析、免疫学的解析とFMF重症度・予後に関連する因子を同定し日本におけるFMFの臨床的特徴を明らかにすることで FMFの早期診断と精密医療の実現に直結するエビデンスを確立することを目的とした。研究成果として、FMFと敗血症を区別する血清バイオマーカーを同定した。典型的なFMF(Tel Hashomer基準による)と診断された患者28名、敗血症患者22名、および年齢をマッチさせた対照者118名に対して、血清レベルをmulti-suspension cytokine arrayを用いて分析した。その結果、GM-CSFとTNF-αの組み合わせは、FMFと敗血症の鑑別診断のためのバイオマーカーとなり得ることを提唱し、研究成果としてArthritis Research and Therapy誌に論文掲載された。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Arthritis Res Ther.
巻: 23 ページ: 260
10.1186/s13075-021-02644-2.