研究課題/領域番号 |
19K08916
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
中村 潤 自治医科大学, 医学部, 助教 (70646314)
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研究分担者 |
高橋 将文 自治医科大学, 医学部, 教授 (40296108)
唐澤 直義 自治医科大学, 医学部, 講師 (60631893)
渡邊 幸子 自治医科大学, 医学部, 助教 (80770619) [辞退]
駒田 敬則 自治医科大学, 医学部, 助教 (90824730)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 川崎病様血管炎 / CAWS血管炎 / NLRP3インフラマソーム |
研究実績の概要 |
NLRP3インフラマソームのCAWS血管炎における役割について検討した。CAWS血管炎部位ではIL-1βの増加を認めるととともに、同部位でのカスパーゼ-1の活性化も検出された。また、NLRP3およびASC、IL-1βの各欠損マウスにおいて、CAWS投与による血管炎やIL-1β産生が有意に抑制されことから、CAWS血管炎の発症にNLRP3インフラマソームが重要な役割を果たしていることがわかった。次に、CAWSに反応する責任細胞を解析するため、心臓に常在しているマクロファージや血管内皮細胞、心線維芽細胞を分離し、CAWS投与後の炎症性サイトカインなどの発現を解析した。その結果、マクロファージにおいてTNFαやIL-6産生の上昇を認めたが、血管内皮細胞や心線維芽細胞では有意な上昇は検出されなかった。また、IL-1β産生に関しては、マクロファージにおいても検出されなかった。一方、in vitroの実験により、骨髄由来樹状細胞がCAWSによって引き起こされるNLRP3インフラマソーム活性化の責任細胞であることが示された。さらに、CAWSがIL-1β産生を誘導する細胞内シグナルを解析したところ、Dectin-2/Syk/JNK/NF-κB経路を介してIL-1β前駆体およびNLRP3合成(プライミング経路)が誘導され、Dectin-2/Syk/JNK/ミトコンドリア活性酸素経路を介してNLRP3インフラマソームが活性化させることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時に提出した研究計画調書に記載した多くの項目に関して、一定程度の答えを導き出すことができ、論文発表も行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
CAWS血管炎モデルで誘導されるNLRP3インフラマソーム活性化は主に樹状細胞で起こっていることが示唆されたが、この樹状細胞がどのように分化・誘導されてくるのか、血管炎部位に樹状細胞がどれほど浸潤してくるのか、血管炎部位にマクロファージが浸潤してきているがそれはどのようなメカニズムによっているか、などについてはわかっておらず、今後の検討課題である。また、インフラマソーム活性化のもう一つの下流イベントである炎症性細胞死Pyroptosisの役割についてもCAWS血管炎モデルでは解明されていない。 上記の研究課題に対する研究をさらに進めて行く予定である。
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備考 |
自治医科大学 分子病態治療研究センター 炎症・免疫研究部 http://www.jichi.ac.jp/inflammation/
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