研究課題/領域番号 |
19K08917
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
前澤 玲華 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (20322406)
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研究分担者 |
有馬 雅史 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00202763)
幡野 雅彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20208523)
倉沢 和宏 獨協医科大学, 医学部, 教授 (30282479)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NCX / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
本研究は神経堤細胞に特異的に発現する遺伝子Ncxのノックアウト(KO)マウスの腸管における一酸化窒素(NO)産生神経の増加に伴う腸内細菌叢のdysbiosisおよび炎症性腸疾患が誘導されることに着目した。Ncx-Koマウスの関節炎モデルを解析することによって、RAおよび自己免疫機構が関連すると考えられる関節炎の 発症・維持機構における腸管の神経・免疫系制御機構やNOの役割を解明を目的とする。本研究はSKGマウスを用いたRAモデルを解析する。SKGマウスはT細胞受容体刺激伝達分子ZAP-70の点変異により、潜在的に自己反応性T細胞を有する。真菌成分であるべータグルカンの投与により関節炎が惹起される。その関節炎の発症には、関節炎惹起性T細胞(Th17細胞)が誘導が関与すると考えられている。病理組織学的には滑膜の増殖や炎症細胞浸潤を認め、リウマトイド因子や抗核抗体(一部には抗シトルリン化ペプチド抗体)が血清中に検出される。野生型マウスおよびNcx-KOマウスにSKGマウス由来のCD4T細胞をそれぞれ養子移入し、RA発症に及ぼす影響を検討した。その結果、Ncx-KOマウスにSKG-CD4T細胞を移入したマウスの関節炎スコア(関節の腫脹)および足関節の病理学的炎症スコアは、有意に減少した。さらにSKGマウス遺伝子バックグラウンドのNcx-KOマウスの関節についても解析した。その結果、同様に関節炎の発症が抑制された。しかし、血清中のリウマトイド因子レベルに有意差を認めなかった。以上より、自己免疫性関節炎の発症に対してNcx-KOマウスは抵抗性であることが明らかになった。Ncxの役割については不明であるが、自然免疫系への関与が示唆された。また 自己免疫疾患の病態において腸内細菌叢のdysbiosisが深く関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は主にRAマウスモデルの解析を実施。計画通りに実施できた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度はRAマウスモデルの病態についてNCXの役割を分子レベルで解析する。
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