研究課題/領域番号 |
19K08923
|
研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
平野 紘康 川崎医科大学, 医学部, 講師 (10454828)
|
研究分担者 |
向井 知之 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (00454421)
井関 將典 川崎医科大学, 医学部, 講師 (30532353)
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 教授 (50346441)
松崎 秀紀 県立広島大学, 生命環境学部, 助教 (80335463)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | TNF受容体関連周期性症候群 / TRAPS / 自己炎症性疾患 / TNF / ゲノム編集 |
研究実績の概要 |
【背景】TNF受容体関連周期性症候群(TRAPS)は、1型TNFRをコードするTNFRSF1Aを責任遺伝子とする常染色体優性遺伝の自己炎症性疾患である。現在までTRAPSの炎症機序の詳細は明らかにされていない。今回、CRISPR/Cas9をもちいたゲノム編集により、Tnfrsf1a遺伝子にG87V変異を導入したTRAPSモデルマウスを作成し、炎症病態を呈するかを解析した。 【方法】G87V変異マウスを33週齢まで経時的に観察し、組織学的解析を行った。ELISAによる血清IL-1β・TNF濃度の測定、定量PCR法による炎症性サイトカイン遺伝子の発現解析をした。さらに、炎症惹起刺激(LPS+D-Galactosamine)に対する反応を評価した。 【結果】G87変異マウスは肉眼的に異常を認めず、組織学的解析で内臓に炎症を認めなかった。また、血清IL-1β・TNF濃度、全血RNAでの炎症性サイトカイン遺伝子発現の上昇は認めなかった。さらに、炎症惹起刺激により、野生型マウスが全数致死的経過をたどったのに対して、変異マウスでは死亡率は低下した。 【結論】G87V変異マウスは、通常飼育下では炎症所見を認めなかった。さらに、予想に反して炎症刺激に対する反応性の低下をみとめた。ヒトTRAPS患者のような炎症病態を呈するには何らかの病態特異的炎症惹起刺激が存在する可能性があり、病態解析を進めるために、炎症誘発因子の探索が必要と考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TRAPS患者の末梢血単核細胞をもちいた実験、変異蛋白質の過剰発現細胞実験の結果についてまとめて、研究論文を発表した。 TRAPS変異マウス4系統の作成が完了した。マウスの観察、初代培養細胞をもちいた実験を現在開始できている。
|
今後の研究の推進方策 |
作成したTRAPS変異マウス4系統の解析を進める。 初代培養細胞を用いて、炎症反応の評価、具体的には炎症のトリガーとなる因子の同定、特異的に上昇する炎症性サイトカインの同定、活性化するシグナルの同定を行なう。その後、マウスに炎症惹起刺激を負荷して、個体レベルでの炎症反応を評価する。更に、ヒト末梢血単核細胞を用いて、ヒト細胞でマウスと同様の反応が見られるかを評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
物品費が当初の見込みと異なっていたため、未使用額が発生した。未使用額は次年度の物品の経費に充てる予定である。
|