研究課題/領域番号 |
19K08925
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
山形 薫 産業医科大学, 医学部, 助教 (80533786)
|
研究分担者 |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | スーパーエンハンサー / 関節リウマチ / SNP / CD4陽性T細胞 / ubash3a / MED1 / ChIP |
研究実績の概要 |
近年、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により関節リウマチ(RA)疾患に感受性のある遺伝子群が特定された。我々は大規模in silico解析により、CD4陽性T細胞にて高発現し、特異的にスーパーエンハンサー(SE; クラスターを形成するエンハンサー領域)制御を受け、RA疾患に感受性のある唯一の遺伝子としてubash3aを見出した。しかし、T細胞受容体(TCR)シグナルの抑制因子として機能するubash3aの発現制御機構およびUBASH3Aタンパク質が制御するRA病態形成機構は不明であった。 令和元年度(初年度)は1)末梢血単核球由来CD4陽性T細胞において健常人に比してRAのubash3a発現は低値であった。2)感受性SNPであるrs189559A/CをSNP PCRで調べたところ、AAとACに比してCCを有するRA患者においてubash3a発現が低下する傾向を見出された。3)健常人に比してRAにおいてubash3a遺伝子座に転写因子YY-1およびSATB1は特異的なリクルートを示さなかったものの、転写共役因子MED1およびBRD4のリクルートが抑制された。以上より、ubash3a遺伝子座においてMED1タンパク質等のリクルートが抑制されることでSE形成が障害を受け、ubash3a遺伝子発現が低下するメカニズムが予想された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
健常人に比して関節リウマチ(RA)患者の末梢血CD4陽性T細胞において、ubash3aの発現が低下することを見出した。RA患者のCD4陽性T細胞のubash3a遺伝子座において転写共役因子MED1とBRD4のリクルートが抑制された。以上より、ubash3a遺伝子発現制御に関するメカニズムの一端を明らかにした。従って、進捗状況は順調に推移していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
健常人とRA患者由来CD4陽性T細胞のSE構造を示すubash3a遺伝子座において、ChIPアッセイを駆使してSE活性を制御する転写因子を見出す。以上より、RA患者CD4陽性T細胞のubash3a発現制御におけるMED1とBRD4を含めたクロマチン構造変換機構を明らかし、SE活性を評価することが可能である。 TCRシグナルが作動したCD4陽性T細胞にubash3aプラスミドを導入して、変動する炎症性サイトカインをCBA法にて測定する。以上より、UBASH3Aタンパク質の低下により齎されるが炎症誘導機構を明らかにすることができる。 上記二点を踏まえRA病態形成におけるubash3aの関与について明確にすることが可能である。
|