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2021 年度 実施状況報告書

HIV-1感染同一個体内でのR5・X4ウイルスの共存に関わる要因の多面的解析

研究課題

研究課題/領域番号 19K08932
研究機関熊本大学

研究代表者

前田 洋助  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (30284764)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードHIV-1 / コレセプター
研究実績の概要

HIV-1はコレセプターとしてCCR5を利用するR5ウイルスから,CXCR4を利用するR5X4やX4ウイルスへと感染後期に進化し,さらに病態の悪化と関連していると考えられている。しかしながらどのような機序でそのようなスイッチがおこるのかは明らかでない。我々はこのスイッチの機序としてR5ウイルスとCXCR4利用性ウイルスが同一個体内で共存している中で,CXCR4利用性ウイルスが感染の中期までは潜在化していて,後期にR5ウイルスが増殖しにくい環境になった時にCXCR4利用性ウイルスが増殖するという仮設をたてた。そこで形質の異なる種々のウイルスが感染している可能性が高い麻薬常用感染者の血漿を選び,そのHIV-1 envのV3領域を増幅して,次世代シークエンサー解析により,メジャー集団として存在しているウイルス以外にコレセプター利用性の異なるウイルスがマイナー集団として存在しているかどうかについて解析した。今回は麻薬常用感染者41例中CXCR4利用性ウイルスが検出された19例から,混合感染 (R5+X4) 7例を含む16症例を選び,V3領域の次世代シークエンサー解析を行った。結果,混合感染においてすでに明らかとなっていた配列以外にも,異なる集団としてR5やX4ウイルス集団が形成されている症例があることが明らかとなった。また,X4ウイルスのみの集団と考えられた症例でも,マイナー集団としてR5ウイルス集団が存在している例が示された。以上から, HIV-1は異なる形質を有する集団として形成されており,この中で,もっともその時の生体環境に適応しているものが選択されてメジャー集団となることが示唆された。感染後期におけるR5からX4へのスイッチもこのような機序が関与していることが推察された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19のパンデミックによる影響により共同研究相手であるベトナムからのサンプルの供給が途絶えてしまった。またベトナムに送付するサンプルに関しても遅れが生じており,本来ベトナムで行う予定であった次世代シークエンサーの解析が遅れている。

今後の研究の推進方策

引き続き麻薬常用感染者における次世代シークエンサー解析を行い,R5とX4ウイルスの共存の解析を行う。R5とX4ウイルスが共存している症例に関しては,その共存の機序を明らかにする。すでに一部の症例に関してはX4ウイルス感染性クローンを樹立し,そのコレセプター利用性ならびに感染性は確認した。さらにその症例の血漿のウイルスRNAから得られたR5ウイルス断片とのキメラ化を行い,R5ウイルス感染性クローンも作製済みである。2022年度はこれらを末梢血CD4陽性T細胞に感染させ,フローサイトメーターを利用してそれぞれのウイルスが感染するCD4陽性T細胞サブセットを同定する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19のパンデミックの影響によりベトナムへの次世代シークエンサー解析用のサンプル送付が滞っており,次年度使用額が生じた。本年度は次世代シークエンサー用の残りのサンプルをベトナムに送付し,支出にあてる。また論文作成のための英文校正ならびに雑誌投稿料として支出する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)

  • [国際共同研究] National Hospital of Tropical Medicine(ベトナム)

    • 国名
      ベトナム
    • 外国機関名
      National Hospital of Tropical Medicine
  • [雑誌論文] Resistance of SARS-CoV-2 variants to neutralization by antibodies induced in convalescent patients with COVID-192021

    • 著者名/発表者名
      Kaku Y, Kuwata T, Zahid HM, Hashiguchi T, Noda T, Kuramoto N, Biswas S, Matsumoto K, Shimizu M, Kawanami Y, Shimura K, Onishi C, Muramoto Y, Suzuki T, Sasaki J, Nagasaki Y, Minami R, Motozono C, Toyoda M, Takahashi H, Kishi H, Fujii K, Tatsuke T, Ikeda T, Maeda Y, Ueno T, Koyanagi Y, Iwagoe H, Matsushita S.
    • 雑誌名

      Cell Reports

      巻: 36 ページ: 109385~109385

    • DOI

      10.1016/j.celrep.2021.109385

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] High Levels of the Cleaved Form of Galectin-9 and Osteopontin in the Plasma Are Associated with Inflammatory Markers That Reflect the Severity of COVID-19 Pneumonia2021

    • 著者名/発表者名
      Bai Gaowa、Furushima Daisuke、Niki Toshiro、Matsuba Takashi、Maeda Yosuke、Takahashi Atsushi、Hattori Toshio、Ashino Yugo
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 22 ページ: 4978~4978

    • DOI

      10.3390/ijms22094978

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] High frequency of mixed infection with different coreceptor usage in CRF01_AE-HIV-1-infected intravenous drug users2021

    • 著者名/発表者名
      Yosuke Maeda, Takayuki Chikata, Taichiro Takemura, Hiromi Terasawa, Matsufuji Tetsu, Nozomi Kuse, Kazuaki Monde, Tomohiro Sawa, Futoshi Hasebe, Masafumi Takiguchi
    • 学会等名
      第68回日本ウイルス学会学術集会・総会

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公開日: 2022-12-28  

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