HIV-1の中でR5ウイルスが基本的なウイルスに対して,X4ウイルスは感染後期のAIDSに観察されることが知られているが,このようなウイルスのスイッチがどのような機序でおこっているのかは明らかでなかった。今回の研究により,両者が同じ感染者に共存している場合,R5とX4ウイルスのどちらのウイルスが主要な集団となるかは,それぞれのウイルスの増殖できる生体内環境によることを明らかにした。したがって,今後の研究により,どのような生体内環境の変化がR5ウイルスからX4ウイルスへのスイッチにつながるのかが明らかとなれば,AIDSへの進行を防ぐHIV-1の新たな治療戦略につながることが期待される。
|