研究課題
ITAM関連受容体の一つであるIgSFR2は、自然免疫において様々な主要機能を担うマクロファージなどの骨髄系細胞に高い発現を認めることが確認されている。しかし、その一方で、IgSFR2はインフルエンザウイルス(IFV)の直接的な感染標的となる気道上皮細胞などの非免疫担当細胞にも、一定量の発現を認める可能性が示唆されている。そこで、研究代表者らは昨年までに、IgSFR2が非免疫担当細胞における普遍的なIFV受容体として機能する可能性を培養細胞株を用いた実験系により検討したところ、IgSFR2発現量依存的にIFV感染が増強される結果を得ることが出来た。また、IgSFR2欠損マウスに由来するマクロファージや繊維芽細胞では、IFVの細胞表面への吸着や細胞内侵入が有意に抑制されることを確認した。そこで、本研究計画の最終年度である2021年度では、IgSFR2のin vivoにおける機能的阻害によりインフルエンザ肺炎を実験的に治療できるか否かを検討するため、まず予備的にIgSFR2が結合する糖鎖モチーフを単回あるいは複数回マウスに経鼻投与した場合の安全性を確認した。その後、IFV 感染モデルマウスに糖鎖モチーフを経鼻投与した場合のin vivoにおける免疫学的作用を検討したところ、IFV感染時に糖鎖モチーフを同時に投与したマウスでは、IFV感染のみの実験対照に比較して肺中ウイルス力価が有意に減少するとともに、肺組織障害の発生も顕著に抑制されていることが明らかになった。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
Nat Commun.
巻: 12 ページ: 2299
10.1038/s41467-021-22620-3