研究課題/領域番号 |
19K08936
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
西村 知泰 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 講師 (90348649)
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研究分担者 |
長谷川 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (20198724)
下田 将之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70383734)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 感染症 |
研究実績の概要 |
肺Mycobacterium avium complex (MAC)症はその病態において依然不明な点が多い、難治性の慢性呼吸器感染症である。本研究では、MAC細胞壁脂質に着目し、肺MAC症の病態を解明する。 MACの菌体から菌細胞壁脂質であるtrehalose 6,6'-dimycolate(TDM)を抽出した。ヒト末梢血単核球由来マクロファージをTDMで刺激し、炎症性サイトカインやケモカインの分泌を評価している。また、C57BL/6マウスにTDMを投与し、肺病理を評価している。これらの結果から肺MAC症におけるTDMの役割を検討していく予定である。 MACは、同じ菌株でも主に3つのコロニー形態、smooth opaque (SmO)型、smooth transparent (SmT)型、rough (Rg)型を呈することが知られている。C57BL/6マウスにM. avium subsp. hominissuis (MAH)104のSmO型、SmT型、Rg型をそれぞれ経気道感染させたところ、Rg型感染マウスで重症肺炎を発症した。また、ヒトマクロファージにMAH104のSmO型、SmT型、Rg型をそれぞれ感染させたところ、Rg型感染ヒトマクロファージで、炎症性サイトカインやケモカインの分泌亢進と生細胞数の減少を確認した。以上より、Rg型の病原性が高いことが確認された。SmO型、SmT型、Rg型ではMAC細胞壁脂質であるglycopeptidolipid (GPL)の血清型特異糖鎖の分子構造が異なり、更にSmO型、SmT型に比べ、Rg型のGPL含有量が少なく、Rg型はSmO型、SmT型に比べ凝集しやすいことを確認した。Rg型の凝集を阻害し、ヒトマクロファージに感染させるとその病原性が低下したことから、Rg型の凝集性が病原性に関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症の流行により、研究時間の制限、研究関連物品の調達が困難になったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も研究実施計画に沿って研究を進めていく予定である。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、研究関連物品の調達が困難なため、計画していた実験が実施出来ない可能性がある。その場合は適宜、実施可能な実験を検討し、実施することで、研究の目的が達成出来るよう努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行により、研究がやや遅れたため。研究実施計画に則り研究を進め、主に消耗品購入に使用する予定である。
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