研究課題/領域番号 |
19K08956
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂上 拓郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00444159)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 抗インターフェロンγ自己抗体 / 非結核性抗酸菌症 / 肺悪性腫瘍 |
研究実績の概要 |
昨年度から引き続き、令和2年度には国内の各施設より32例のNTM症より採取した血清検体の抗IFNγ自己抗体測定を受託した。相対的濃度、相対的中和能の評価を行い10例の陽性例を見出した。NTM症以外の症例における測定依頼も受託したが、いずれの検体におけても本抗体は見出されず、陽性例のすべては播種性NTM症例であった。本研究課題の目的の一つでもある、webによる測定依頼フォームを令和2年10月に開設し、以後に依頼は14例あったが、うち8例がweb経由による依頼であった。現在まで我々の研究グループで収集してきた症例は100例以上となり、そのデータメース構築と保存検体のバイオバンク化を進めている。稀少疾患での作業であり、年間10例程度の上積みであるが、本邦では我々のグループがほぼ独占的に測定を行っていることから、我が国におけるデータベース構築と言える。作成したデータベースを基に、抗体陽性例の臨床的な特徴の抽出を進めている。 また、播種性NTM症以外に抗IFNγ自己抗体の関与する病態として、治療抵抗性の肺悪性腫瘍におけるひとつの機序としての可能性を仮説として保存血清の解析を行った。160名の測定を行い、弱陽性例を2例見出した。現在症例のプロファイルや治療経過を含め検討を進めている。また160名中で免疫チェックポイント阻害薬を使用した22症例では、薬剤の使用前後での評価を行った。治療効果別での検討は行えていないが、現時点では抗体価に変動は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和2年度には新型コロナウイルス感染症の影響もあり、測定依頼ペースが一時低迷したが、最終的には昨年度同様であった。web解析受託システムも構築でき、症例データベースの構築も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
稀少疾患を対象としての研究であるが、すでに100例以上の抗IFNγ自己抗体陽性例のデータベース構築と、血清検体の保存が進んでいる。これらを基に、併存症、所見を詳細に解析することにより、特にIFNγのヒトにおける新たな役割の探索を進めていく。また、他疾患、特に悪性腫瘍における免疫チェックポイント阻害薬耐性化の一機序として抗IFNγ自己抗体の関与を仮説として考えており、臨床例における解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
外部委託中のwebページ完成が令和2年度中盤にずれ込み、やや計画に遅れが生じた。またデータ入力様のPCが未購入であり、その経常予算の消化が行われていなし。現在選定中であり、次年度早々に執行予定である。令和3年度は収集したデータと資料を基に解析をすすめる。
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