研究課題/領域番号 |
19K08956
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂上 拓郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (00444159)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 抗インターフェロンγ自己抗体 / 非結核性抗酸菌症 |
研究実績の概要 |
本年度も継続的に検体収集を進めた。申請者の所属する熊本大学呼吸器内科学講座のホームページ上に開設された抗IFNγ自己抗体測定受託のページの認知度も次第に向上しており、依頼を受ける症例数は年々増加している。令和4年度は42件の問い合わせがあり、うち31件より抗体測定を受託した。うち6例の抗IFNγ自己抗体の陽性例を見出している。また、抗体陰性の播種性NTM症例の集積も自動的に進んでおり、両者における表現型の差異の解析を進めている。解析時までに96例の播種性NTM症例の血清解析が完了しており、抗IFNγ自己抗体陽性は55例、陰性は41例であった。両者の間に男女比、年齢中央値、BMIなどの背景因子の差は認められなかったが、病変の分布では、抗IFNγ自己抗体陽性例において、有意に骨病変、リンパ節病変が多く、また血流感染である菌血症は有意に少ないことが明らかとなった。 背景に免疫不全を持たない(悪性疾患や、免疫抑制剤の使用のない例)において播種性NTM症を生じていることが明らかになってきており、そういった例における他の抗サイトカイン抗体の関与について検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検体集積は順調に進んでおり、その表現型の解析も概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
自己抗体陰性例の集積が進んできており、うち背景に明らかな免疫不全を持たない症例が混在することが分かってきた。そういった症例における抗酸菌感染症防御に関わるIFNγ以外のサイトカインに対する自己抗体の検出を試みている。また、集積症例のデータベースは解析を行える状態に準備が完了しており、今後陽性例の臨床表現型の特徴を見出して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
検体集積が進むことに時間を要した。現時点で解析に充分な集積がすすんだことから次年度には表現型解析を進める事が可能である。また一部の症例における網羅的なサイトカイン解析を外部委託にて行う予定としている。
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