研究課題
肺炎球菌の鼻咽腔定着、肺炎、全身感染に炎症に対する制御機構である感覚神経チャンネルであるTransient Receptor Potential(TRP)がどのように関与しているかについて、肺炎球菌感染モデルを用いて検討した。TRPVノックアウトマウス(TRPV1 KOマウス、TRPV4 KOマウス)および野生型マウス(C57BL/6J)に肺炎球菌強病原性株である6A株を経鼻接種し、鼻腔保菌量、菌血症発症頻度、敗血症経過を検討した。また肺炎球菌感染症の重症化因子としてインフルエンザウイルスの重感染モデルを作成した。鼻腔保菌量は肺炎球菌単独感染モデル、重感染モデルいずれも野生型マウス、TRPV1 KOマウス、TRPV4 KOマウスの間に有意差を認めなかった。一方で、肺炎球菌単独感染モデル、重感染モデルいずれも野生型マウスと比較してTRP KOマウスでは有意に高い菌血症の発症率を認めた。敗血症モデルにおいては、重感染モデルで野生型マウスと比較してTRPV4 KOマウスでは有意に高い敗血症の発症率を認めた。遠隔臓器においては、大脳、心臓、脾臓、肺組織における肺炎球菌数は肺炎球菌単独感染モデル、重感染モデルいずれもTRPV4 KOマウスで有意に高値であった。肺の組織学的検討においては、TRVP1 KOマウス、TRPV4 KOマウスいずれも野生型マウスと比較して、重感染モデルにおいて、組織障害が強かった。本研究課題において、TRPV1およびTRPV4は肺炎球菌の重症感染時において、生体防御に重要な役割を担っていることがマウスモデルにて証明された。
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Frontiers in Immunology
巻: 12 ページ: 732029
10.3389/fimmu.2021.732029.