研究課題/領域番号 |
19K08964
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
輪島 丈明 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (00516669)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 侵襲性レンサ球菌感染症 / 3次元皮膚組織モデル / G群レンサ球菌 |
研究実績の概要 |
本年度は、昨年度までに行っていた臨床分離Streptococcus dysgalactiae subsp equisimilis (SDSE)についての解析を継続するとともに、改良型3次元組織モデルに感染させる候補菌株のゲノム解析を行った。SDSEについては、重症感染症例由来株は、emm型でstg6792型、次いでstg485型、stg10型が多かった。一方、multilocus sequence typing(MLST)では重症例の約半数はclonal complex (CC) 17であった。そのため、CC17でstg6792型の株とstg10の株の2株についGridION とDNB Seq-G400を行い全ゲノム配列を取得した。これらを比較解析したところ、emm遺伝子以外は非常に相同性が高いことが示された。また、CC17株とそれ以外の株についてデータベース上の他の菌株配列との比較を行った。その結果、複数の挿入配列が存在することが明らかとなった。すなわち、挿入配列部分が病原性に関連している可能性が示唆された。 改良型3次元皮膚組織モデルについては、昨年度までに最適化したモデルを構築し、継続的に実験に供試できる体制を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルスの流行に伴い、実験研究が大幅に制限された。改良型組織モデルの構築には、3週間の期間を要するため、その間モデルを作成した実験を行うことができなかった。そのため、次年度以降に行う予定であるRNAseq解析の準備段階および臨床分離株の解析として候補菌株のゲノム解析を行った。その結果、高病原性株はいくつかの挿入領域を持つことが明らかとなった。また、安定的に組織モデルを構築する体制を構築した。次年度は、この菌株、ゲノムデータ、改良型3次元組織モデルを用い感染実験とRNAseq解析を行うことで当初目的を達成したい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに、改良型3次元組織モデルを構築し、高病原性株の推定が終了していることに加え、高病原性株のゲノム解析も終えている。次年度は、これらすべての技術、情報を駆使し研究を加速させる。次年度は、今年度実験研究ができず、繰り越した補助金で組織モデル構築を熟知した研究補助員を雇用し、3次元皮膚組織モデルを用いた評価を加速させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い、実験研究が制限されその分残額が生じた。 次年度以降は、この経費で研究補助員を雇用し、研究を加速させる予定である。
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